12: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/08/08(土) 23:12:45.52 ID:eMWdeDR60
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
高雄が提督と話す機会はすぐに訪れた。
翌日、廊下を一人で歩いていた提督と偶然にも出くわした。
挨拶を交わしてすぐに、好機と見た高雄はすかさず切り出していた。
「提督、鳥海のことでお話が。よろしいですか?」
「何かあったのか?」
「大したことではありませんが、艦隊に一度戻してもいいのではないかと」
「もうそんな時期か?」
秘書艦の仕事は片手間でもこなせるほど少なくない。秘書艦に就いていれば、どうしても出撃は制限されてしまう。
ただし、それだと秘書艦が実戦での勘や経験が鈍ってしまうので、定期的に秘書艦から外れて出撃任務に当たるようになる。
鳥海が前回出撃してから、まだ一週間と経っていないと提督は記憶していた。
「早いとは思いますが、鳥海がもう少し準備をしておきたかったと。なんのことかは分かりませんが」
これは真っ赤な嘘だ。
ただ提督は納得した。改二のことが頭にあるために。
「それもそうか。鳥海も言えばいいのに遠慮なんかして」
高雄の予想通りの反応だった。
微苦笑の提督に高雄は内心では申し訳なく思って謝罪していた。と同時に鳥海に軽い嫉妬も憶えていた。
それまでの秘書艦たちがどうしても踏み込めなかった提督の柔らかい部分に鳥海は入り込んでいた。
それ自体は偶然から始まったにしても、そうやって埋まってしまった部分は……よほどのことがなければ、もう代わりが効かなくなる。
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