11: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/08/08(土) 23:11:33.85 ID:eMWdeDR60
二人が考えていると愛宕が手を打つ。
「前に話してくれたよね。提督が秘書艦を変えようとしてたって」
「ええ、その頃に色々あったから鳥海が専任で務めるようになったんじゃない」
鳥海が秘書艦に抜擢されたのは偶然の結果だった。
それが提督と木曾との間に起きたとある事件――公称では事故を経て、鳥海の秘書艦という立場は揺るぎないものに変わっていた。
「そこじゃないかな、摩耶の悩みって。提督への不信感から来てるんじゃない?」
「どういうこと?」
「鳥海を馬の骨に取られた、みたいな」
「どこのお父さんよ……ちょっと飛躍しすぎじゃない?」
「そうかしら? 私は結構イイ線突いてると思うけど」
「そこまで言うからには根拠があるんでしょうね?」
「ないよ。でも摩耶を見てたら分かるから」
渋い顔をする高雄の心中を察したのか、愛宕は大げさな身ぶりと一緒に言う。
「私を信用しなさーい」
「してるわよ。だから根拠がほしかったのに……鳥海には黙っておいたほうがいいわよね?」
「上手く伝えられる? 私はできる自信ないよ」
「私もよ。ええと、とにかく提督には私から打診してみるとして、摩耶の説得はしてよね」
「ふふっ、任せて」
こうして二人の会話は方針を得たことで終わった。
屋内で二人は別れ、部屋に帰る道すがら高雄は深呼吸する。そして思い出した。
「あ……忘れてた……」
愛宕にちょっとした頼み事があったのに、それを伝えていなかったのを。
それでも今となっては些末なことになっていた。
鳥海の秘書艦、改二艤装、妹離れ。いくつものことが高雄の頭を過ぎるのに、それはどうにも捉えどころがなかった。
摩耶の気持ちが分かると言った彼女の気持ちに偽りはない。
高雄は自身も妹たちとの向き合い方を変えることになりそうな、そんな予感を抱いていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
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