54: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/08/24(月) 10:03:53.16 ID:aYmvm1JN0
息を吐いて体に力を入れる。これで最後だ。
あたしを見る鳥海は笑ってた。前と変わらない笑顔で。
なんだよ意味分かんねー……けど、嫌な感じはしなかった。
もしかすると実は初めからずっとそうだったのかもしれない。あたしが気づかなかっただけで。
艤装が軽い唸り音を立てて、ゆっくり鳥海に近づいていく。向こうも微速で接近してくる。
波に揺られて上下する体が自然とリズムを刻む。
等間隔のリズムが崩れた時、体が滑るように前へ出ていた。
引き絞った腕を前へと繰り出す。
矢のような拳は迎え撃ってきた鳥海の腕と交錯して―ー
――空が青かった。
初めは自分の見ているものがよく分からなくて、次に来たのは熱くて鈍い胸の痛みだった。
咳き込むと口の中に塩っ辛い水が入ってくる。
間違えてそれを飲み込んでむせてから、海面に仰向けになってる自分に気づいた。
やられた……いや、確かにあたしも当てた感覚はある。
腕が海面に触れて掌までは沈むけど、そこから先はゴムに触れたような感触を返してくる。
艤装は生きてる。けど体が痛いし……それ以上に重たくて力が入らない。
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