184: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:34:05.36 ID:s8phhYh5O
じきに、一筋の白線が描かれているカンバスは、高いビルによって遮られていく。
いつの間にやら、ターミナル駅近くまで来ていたのだ。周りを取り巻く人の密度は、加速度的に高まっている。
ついさっき学校を出たばかりではなかったか? まるで、数分のタイムリープをしたかのよう。
185: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:34:32.28 ID:s8phhYh5O
あの日のレッスンのあとの行動は早かった。
社長はすぐさま書類を作成し、凛とともに両親の許へ。
186: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:35:36.61 ID:s8phhYh5O
さておき。
アイドル“候補生”としての一歩を踏み出した凛は、あれから毎日、放課後は体力作りにジムへ通っている。
187: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:36:21.71 ID:s8phhYh5O
例の日曜日、三人が本格的に所属するとなったとき、社長は
「私は関係各所を飛び回るのに忙しくてねぇ! すまんがしばらくは各自で体力作りをしてくれたまえ!」
と豪快に笑っていた。
188: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:36:50.70 ID:s8phhYh5O
今日は一体どこを飛び回ってるんだろうね――凛はつらつらと思いながら、中央線に揺られている。
席へ坐った膝上には、復習を兼ねた、中間考査対策の暗記カードと問題集。
この時間の上り列車、快速東京行は空いていて、30分余の“通勤”中、勉強をするには丁度良い。
189: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:37:21.27 ID:s8phhYh5O
しかし集中していると、刻が経つのはあっという間。
気付けば、電車は新宿を既に発ち、千駄ヶ谷を通過しようかというところだった。
窓の外では、首都高速4号を並走する自動車が列車に追い抜かれ、ゆっくりと後方へ見えなくなっていく。
190: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:38:04.04 ID:s8phhYh5O
――
「おはようございまーす」
191: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:38:52.65 ID:s8phhYh5O
「社長、今日は行脚してないんですか?」
凛が二人へ右手を挙げて挨拶しつつ、彼女らの対面に腰掛ける社長に訊くと、当の本人は大きく笑った。
「はっはっは、私だってたまには戻ってくるさ。今日はちょっと方針を固めようと思ってね」
192: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:39:47.21 ID:s8phhYh5O
「この人たちが、これから君たちの面倒を看てくれることになる」
社長がまず自らの隣に並んだ女性を掌で指すと、その二人はぺこりとお辞儀をした。
193: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:40:18.26 ID:s8phhYh5O
一歩前に出た明がハキハキとした口調で自己紹介する。
「はじめまして、私があなた方をレッスンさせて貰います、担当トレーナーの青木明です!」
そして面影にやや幼さのある女の子――写真として残る現役時代の麗によく似た慶もまた一歩前へ出て
194: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:41:00.85 ID:s8phhYh5O
社長は、うんうん、と頷きながら、
「麗は教室を主宰しているから、時期がくるまではこちらを付きっ切りで看て貰うことが出来ないんだ。
だから、現時点での専属トレーナーは、この二人にお願いすることとなる」
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