223: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:04:53.92 ID:s8phhYh5O
「とんでもない。女の子にとって、運動後の糖分は麻薬にも等しい。ただそれだけのことですよ」
ちひろは我関せずと云うかの如く、目を瞑り、しれっと淡白に返答した。
社長はこめかみをぽりぽりと掻いてから、アイドルに告げる。
224: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:05:34.55 ID:s8phhYh5O
――
少々時間を巻き戻し、ここはレッスンスタジオ。
225: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:06:02.39 ID:s8phhYh5O
「……いいんですか?」
そんな彼女らの様子を眺めている男性陣のうち、Pが顔を社長へ向けて、小声で問うた。
つい今しがた、社長が明にレッスンの継続を許可したことについてだ。
226: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:06:32.31 ID:s8phhYh5O
「しっかしまー、傍から見てる以上にアイドルってのは体力勝負なんだな」
パイプ椅子に浅く座り、脚を投げ出しつつ窓の向こうを見ているスキンヘッドの鏷が、感心したように呟いた。
部屋の中だと云うのにサングラスを外さない、不思議な男。
227: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:08:29.33 ID:s8phhYh5O
奇異な男二人をそっちのけに、Pは、凛へ目を奪われていた。
その『沈着―クール―』を体現した美しい少女。
228: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:09:00.98 ID:s8phhYh5O
しばらく無言でレッスンの様子を眺めていたが、やおら、社長が振り向いた。
「さて、プロデューサーの卵諸君。目の前に、これまたアイドルの卵の三人がいる。
今日、スタジオまで君たちを同行させたのは、担当する子の方向性を見出して欲しいからだ」
229: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:09:31.60 ID:s8phhYh5O
プロデューサーの卵三人は、急な催促にきょとんとしながらお互いを見る。
「んまぁ、或る程度のプランは立てておかないと活動できないモンね。あの娘たちのことよく見ておかないと」
「ここで全部ガッチガチに決めるワケじゃねえもんな。確かに、どう売り出していくか、ってのは重要だ」
230: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:10:19.38 ID:s8phhYh5O
――
「プロデュースの方針、ですか」
231: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:10:55.91 ID:s8phhYh5O
それじゃ、と銅が一歩前に出る。
「はいじゃあ卯月ちゃんね、アナタはもう即戦力になりそうだから、すぐに営業を始めるわ」
「そ、即戦力……」
232: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:11:22.92 ID:s8phhYh5O
そうだ、このために、養成所で頑張ってきたのだ。
ずっと、ずっと憧れてきたアイドルの世界への一歩を、ついに踏み出す時がきた。
「ローカル局やケーブル局辺りから売り込んでみる。ドサ回りも多いと思うけど、地道にこなしていきましょ」
233: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:12:17.60 ID:s8phhYh5O
「ういー、んで未央、オメーは――」
銅に続いた鏷が、一旦言葉を切って、手許の用紙から視線を挙げた。
そのまま未央の全身を眺め、何度も首を縦に振る。
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