過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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341: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:44:15.39 ID:s8phhYh5O
「慶ちゃん、真面目でいい子ですよね。勿論、明さんも」

スタジオ内を見やって、Pは自らの落ち度にやれやれと首を竦めた。

「凛の本番が一週間後に近づいているんですが……今から指導内容を変更して大丈夫でしょうか」
以下略



342: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:44:45.54 ID:s8phhYh5O
「だが貴方はそれが課題だと認識できているのだろう? 原因が判っているなら改善のために動くのは簡単だ」

Pの思考を見透かしたようなタイミングで麗が言葉を続けた。

訝しむPへ、麗は腕を組んで笑う。
以下略



343: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:45:44.77 ID:s8phhYh5O
「そう。スタジオレッスンとはまた別の機会で、P殿によるリズムトレーニングを追加するんだ」

「だって自分はトレーナーではありませんよ!?」

「何を云う。プロデューサーはアイドルを導く存在。多少のレッスン指導はするものだ」
以下略



344: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:46:13.16 ID:s8phhYh5O
「P殿は……少なくとも渋谷君よりも、リズムの感覚は鍛えられている。それはさっきの仕種だけですぐ判る」

ダンスミュージックに乗って、自然と身体が動いていた件だ。

「私見だが……貴方は音楽に関して何らかの経験が既にあるんじゃないかな?」
以下略



345: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:46:48.34 ID:s8phhYh5O
「種明かしは簡単さ。訓練を受けてない人間が、裏拍でリズムを取ることはまずないよ。特に日本人はね」

箏曲や囃子など、西洋の文化がもたらされる前の伝統音楽に思いを馳せれば、表拍子を刻むものが大多数だ。

さらに元を辿ってゆけば、唄による感情表現が最優先となり、一定の律動を刻むという習慣さえなかった。
以下略



346: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:47:17.46 ID:s8phhYh5O
「西洋式の拍の取り方を知っているなら――即ち訓練されたことがあるなら、それを彼女へP殿から伝えるんだ」

Pは麗の目をしっかり視て、一度だけ、強く首を縦に振った。

「……わかりました。すぐにでも準備します」
以下略



347: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:53:42.41 ID:s8phhYh5O

レッスンから戻った凛を、半ば拉致するようにやって来たのは、井の頭線は新代田『フォーエバー』。

キャパシティは数百人と、決して大きいとは云えないライブハウス。

以下略



348: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:54:44.71 ID:s8phhYh5O
「しかも何だ、新しいバンドでも組んだのかと思ったらJK同伴で二人だけの貸切たぁ、妙な使い方じゃねえか」

「いやーすいません、ここならきっと便宜を図ってくれると信じてたんで」

「ったく都合のいいハナシだぜ」
以下略



349: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:55:14.69 ID:s8phhYh5O
フロアに入り、ドアを閉めると、借りてきた猫の如く押し黙っていた凛が、ようやく口を開く。

「……あの人とは知り合いなの?」

「ああ、昔、ちょっとな」
以下略



350: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:55:54.52 ID:s8phhYh5O
「何も聞いてないよもう! ていうかプロデューサーが私に特訓って何? さっきレッスンしたばかりじゃない」

両手をカーデガンのポケットに突っ込んだまま、凛は口を尖らせ抗議を寄越した。

「慶ちゃんたちトレーナーさんとは違うアプローチでな、お前のリズム感を鍛えるんだ」
以下略



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