356: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:59:00.31 ID:s8phhYh5O
ミニマルテクノは、使う音が少なく構成が単純な分、反復で快楽を与えむとするジャンルである。
フレーズの反復、展開の反復。そしてそれら全てに関わってくるのが、リズムを反復することの気持ち良さだ。
そして、リズムによって精神をトランスさせるべく、とても高度にパターンが練られたものが多い。
357: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 04:59:37.10 ID:s8phhYh5O
「確かにずっとこういうのを聴いていればリズム感は鍛えられそうだけどさ――」
凛は、まだ何となく納得しきれていない顔をする。
「人間の気持ち良さは、揺らぎ……っていうんだっけ? そこにあるんじゃないの? 1/fとかいうやつ」
358: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:00:04.62 ID:s8phhYh5O
半信半疑な様子の凛に、ブースから降りたPが傍へ寄った。
「さて、せっかくこんな場所にいるんだ。聴くだけじゃなくて身体にも染み込ませよう」
そう云って、表拍のベースドラムに合わせて脚を、裏拍のハイハットに合わせて腕を動かすように指示を出す。
359: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:00:32.36 ID:s8phhYh5O
「プロデューサーは私をオーバーワークで潰したいの? 今、体力結構ぎりぎりなんだよ?」
「その疑問にも一理はあるが、ライブまでにお前のどうしようもないリズム感を改善させなきゃいかんだろ」
不信感が少し込められた凛の言葉に、Pの語気がやや強くなった。
360: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:01:01.67 ID:s8phhYh5O
「ちょっと、どうしようもって……言い方ってもんがあるんじゃない?」
「事実を云ったまでだ。言葉を取り繕ったってしょうがないだろ」
「たとえ本当のことでもストレートでぶつけられたら良い気はしないでしょ!」
361: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:01:29.03 ID:s8phhYh5O
先にクールダウンしたのはPだ。
「言い過ぎた。色々と悪かった。このリズム感は喫緊の課題で、今のレッスンと並行して進める必要があるんだ」
凛も、Pにつられてボルテージがしぼむ。
362: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:01:59.40 ID:s8phhYh5O
今しがたまであまり乗り気のしない様子を見せていたが、実際に身体を動かし始めると意見が変化する。
「あ、なんだろ。意外と……楽しいかも。これ」
「身体を動かすとドーパミンが出るからな。一回やり始めちまえばこっちのもんさ」
363: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:02:30.75 ID:s8phhYh5O
一時間ほど集中して訓練を繰り返したのち、再度曲に合わせて手を叩かせてみると。
「うわ……すごい」
「あぁ! こりゃ予想以上の成果だ」
364: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:03:29.37 ID:s8phhYh5O
――
それからの凛は、とかくやるべきことが多かった。
365: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:03:59.80 ID:s8phhYh5O
放課のチャイムが鳴った途端に鞄へ荷物を詰める凛に、あづさが近づく。
「ねえ凛、なんか今日グワンデュオでセールやってるみたいなんだけど――って、その様子じゃ行けないわね」
凛をショッピングに誘おうとした彼女は、言い切る前に無理だと悟ったらしい。
366: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:04:30.19 ID:s8phhYh5O
片目を瞑って謝る凛に、二人は不思議そうな表情だ。
「お前んとこの花屋、そんなにてんやわんやしてんのか?」
「この時期、お花屋さんって特に繁忙期じゃないわよね」
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