378: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:25:31.92 ID:s8phhYh5O
髪飾りや手にあしらわれた紫の花のワンポイントと、何よりも凛自身の碧い瞳がくっきりと活きるのだ。
「こんな恰好するの初めてだけど、ちょっと嬉しい、かな」
はにかんで、しばらく間を置いてから微笑んだ。
379: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:26:20.75 ID:s8phhYh5O
狭いフロアに、熱気が渦巻く。
凛のパフォーマンスは、頭一つ、いや、それ以上に抜きん出ていた。
380: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:26:46.12 ID:s8phhYh5O
きりりとした意志の強そうな表情、芯のしっかりした歌声、キレのよいダンス。
凛は、固定ファンの多数存在する、トリを務めたアイドルとほぼ互角の興奮を生み出したのだ。
それは、本日デビューでこのステージが初めてという者がおよそ達成できる偉業ではない。
381: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:27:13.87 ID:s8phhYh5O
凛の初舞台、その勇姿を本当は前列で見たかったのだが……
予想以上の混雑と熱狂で、まるで地下鉄東西線の朝ラッシュの如く弾かれてしまった。
「……すげえな」
382: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:27:48.26 ID:s8phhYh5O
結局そのまま、ここが彼女らの指定席。
最後まで、近くて遠いステージを見詰めていた。
「こないだ屋上で聞いた時は、根は真面目なアイツがアイドルなんて性質の悪い冗談かと思ったけどさ」
383: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:28:19.31 ID:s8phhYh5O
演り終えた凛が、新たに獲得したファンとフロアの端で記念撮影をしているのを遠目に、二人は感慨深気だ。
「これは、自慢話が捗るわね」
あづさが期待に胸膨らませると、
384: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:28:47.97 ID:s8phhYh5O
「正直、これまで何に対しても“なあなあ”で済ませてきた凛がここまで打ち込んでるなら、近く大物になるわ」
「かもな。原石って、思いもしねえほどあたしの近くに転がってたんだなぁ」
「あわよくばわたしたちも?」
385: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:29:21.22 ID:s8phhYh5O
撮影を終えた凛が、Pを伴ってやって来た。
「二人とも、来てくれたんだ」
「ええ、そりゃ貰ったチケットを無駄にするわけにはいかないもの」
386: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:29:55.77 ID:s8phhYh5O
「ああ。なんか気恥ずかしいけどよ、カッコよかった。お前のファンになったぜ」
「わたしもよ。そこそこ長い付き合いだと思ってるけど、初めて凛に燃えさせられた。れっきとしたファンね」
「そこまで云ってくれると光栄だね。君たちは凛のファン第二号と第三号だよ」
387: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:30:33.37 ID:s8phhYh5O
帰路に就く友人らと別れ、凛とPは飯田橋の街を事務所まで歩く。
凛は表向き無感情な顔をしていたが、その内心は昂りを禁じ得なかった。
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