過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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426: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:56:52.83 ID:s8phhYh5O
自らのことでありながら、凛にとって意外に思ったのは、負けたことが想像以上にショックだった点だ。

例えば運動競技で力が及ばなかったとか、テストで上位を取れなかったとか、負けたことなど過去数知れずある。

なのに、ライブでの敗北は、過去のどんな負けよりも、深く心臓を抉り込むように凛の心を突き刺した。
以下略



427: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:57:28.57 ID:s8phhYh5O
勿論、凛は自分が卯月たちより勝っているとは露程も思っていない。

むしろ彼女らより明らかに劣っている。それは最初のレッスンの刻から判り切っていた話だ。

それでも、改めて第三者に落ちこぼれの烙印を押されると云うのは、軌道に乗り始めた凛には辛い現実だった。
以下略



428: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:58:00.41 ID:s8phhYh5O
――つまんにゃい。

たまらず眼を瞑る。

――つまんにゃい。
以下略



429: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:58:30.32 ID:s8phhYh5O
荒い呼吸に、歩みを一旦止める。

みくの声を掻き消してくれと云う思いが天に届いたか、飛行機の轟音が響き渡った。

ここは米軍基地の滑走路南端をかすめるように延びる道路。
以下略



430: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:59:33.57 ID:s8phhYh5O
見送ったのち、視線を下げると、ハナコが不思議そうに、飼い主の表情を窺っていた。

「……ごめんね、ハナコ」

凛は、自らを見上げる小さなヨークシャーテリアを抱き上げた。
以下略



431: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:00:00.69 ID:s8phhYh5O
このままでは、私は捨てられてしまうだろう。

以前の無味乾燥な日々に戻ってしまうだろう。

何もかもがつまらなく、そして何も変えられないと思っていた自分が、ようやく、楽しいと思えることに――
以下略



432: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:00:27.30 ID:s8phhYh5O
凛は胸の前で拳をぎゅっと握った。

このままこれまでと同じレッスンを続けても――

凛が腕を上げたところで、みくだって自主レッスンをこなして更に数歩先へ進むことだろう。
以下略



433: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:03:37.55 ID:s8phhYh5O


――

それからの凛は、だいぶ淀んだ。
以下略



434: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:04:28.34 ID:s8phhYh5O
それは一種の被害妄想に過ぎないのだが、凛自身にとっては深刻な問題である。

たとえ無理矢理に鼓舞しようとも、心の安寧を脅かす思考から離れることができない。

自らを磨く為でなく、ただ予定表に書かれているからレッスンをこなす。
以下略



435: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:04:58.96 ID:s8phhYh5O
再度ステージに立たせるべきか?

 ――トラウマが甦ったらどうする。

レッスンにとことん打ち込ませるべきか?
以下略



436: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 06:05:33.92 ID:s8phhYh5O
「休ませる、なのかなぁ……」

ここ最近のレッスン中に見せる凛の顔が、以前に比べて暗く疲れているように感じたから。

少し気分転換が必要だろうか。
以下略



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