47: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:35:54.69 ID:s8phhYh5O
電車の扉が開く際に鳴る電子音が、凛の鼓膜を揺らす。
脳はそれを、ただ行動に移すための記号としか捉えず、深い自問自答を中断させることはなかった。
その日、凛は、寝るまでずっと、考え込んでいた。
48: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:37:01.61 ID:s8phhYh5O
――
「はぁ〜ぁ……」
49: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:37:31.96 ID:s8phhYh5O
そこへ、前の席にいる少女が、声を掛ける。
「なによ凛、そんな幸せが逃げ出しそうな溜息なんか吐いて」
「あー……あづさ、私そんな溜息ついてる?」
50: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:38:01.82 ID:s8phhYh5O
「まあしゃーねーよ。政経なんてかったるい授業トップ3だもん」
隣の席からも会話が混じってくる。
凛は、声のした方に顔を向けて笑った。
51: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:38:31.90 ID:s8phhYh5O
「んで? 随分とダルそうな溜息じゃねーの、どうしたよ」
少々がさつな口調のまゆみが、頬杖を突いて問うた。
「んー、ちょっと将来について考えることがあってね」
52: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:39:04.12 ID:s8phhYh5O
凛は頭を上げて、「うーん」と身体を伸ばした。
「そこまで真面目なもんでもないよ。ただ、人生について考えるきっかけがあっただけ」
「人生、ねぇ。わたしは一回こっきりしか無いんだから楽しんだモン勝ちだと思うけど」
53: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:39:31.89 ID:s8phhYh5O
――
放課後、ターミナル駅前のカラオケ店へ、三人は来ていた。
54: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:40:02.30 ID:s8phhYh5O
水色を基調とした店の受付口は、今をときめくアイドルたちのポスターやパネルで賑やかだ。
トップアイドル天海春香や男性アイドルグループ・ジュピターなど、処狭しと並んでいる。
55: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:40:32.10 ID:s8phhYh5O
「――ちょっとぉー、凛、何してるの、行くよー」
ふと、あづさに呼ばれる声で凛は我に返った。
「あ、ごめんごめん」
56: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:41:01.98 ID:s8phhYh5O
――
嘘の言葉が溢れ
57: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:41:32.06 ID:s8phhYh5O
アイドル三人を照らす眩しいライト、客席で無数に揺れるサイリウムと、激しく飛び跳ねる観客たち。
その世界は、とても煌めきに満ちている。
もし――もし、このような舞台に立てるのなら……
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