51: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:38:31.90 ID:s8phhYh5O
「んで? 随分とダルそうな溜息じゃねーの、どうしたよ」
少々がさつな口調のまゆみが、頬杖を突いて問うた。
「んー、ちょっと将来について考えることがあってね」
52: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:39:04.12 ID:s8phhYh5O
凛は頭を上げて、「うーん」と身体を伸ばした。
「そこまで真面目なもんでもないよ。ただ、人生について考えるきっかけがあっただけ」
「人生、ねぇ。わたしは一回こっきりしか無いんだから楽しんだモン勝ちだと思うけど」
53: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:39:31.89 ID:s8phhYh5O
――
放課後、ターミナル駅前のカラオケ店へ、三人は来ていた。
54: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:40:02.30 ID:s8phhYh5O
水色を基調とした店の受付口は、今をときめくアイドルたちのポスターやパネルで賑やかだ。
トップアイドル天海春香や男性アイドルグループ・ジュピターなど、処狭しと並んでいる。
55: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:40:32.10 ID:s8phhYh5O
「――ちょっとぉー、凛、何してるの、行くよー」
ふと、あづさに呼ばれる声で凛は我に返った。
「あ、ごめんごめん」
56: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:41:01.98 ID:s8phhYh5O
――
嘘の言葉が溢れ
57: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:41:32.06 ID:s8phhYh5O
アイドル三人を照らす眩しいライト、客席で無数に揺れるサイリウムと、激しく飛び跳ねる観客たち。
その世界は、とても煌めきに満ちている。
もし――もし、このような舞台に立てるのなら……
58: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:42:52.10 ID:s8phhYh5O
じっと画面を見詰め、昨夕からずっと廻している思考に耽っていると。
「凛、次はどの曲入れる?」
59: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:43:23.06 ID:s8phhYh5O
決定ボタンを押すと、ピピピッと鳴る軽い電子音と共に、リクエストが登録された。
Alice or Guiltyは終盤に差し掛かっている。
60: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:44:07.71 ID:s8phhYh5O
「あーやっぱジュピターかっけえぜ!」
コーラを一口飲んでから、まゆみがガッツポーズを取ると、あづさはマイクに手を伸ばしながら云う。
「確かにジュピターもいいけどさ、わたしはやっぱり桜庭サマが一番かな」
61: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:44:42.89 ID:s8phhYh5O
しかしその曲は、凛の頭には入っていかなかった。
あづさの云った、『一億二千万人』――
その中から選び抜かれる僅かばかりのアイドルに、凡人の自分が到達できる確率など途方も無く小さな数値だと。
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