55: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:40:32.10 ID:s8phhYh5O
「――ちょっとぉー、凛、何してるの、行くよー」
ふと、あづさに呼ばれる声で凛は我に返った。
「あ、ごめんごめん」
56: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:41:01.98 ID:s8phhYh5O
――
嘘の言葉が溢れ
57: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:41:32.06 ID:s8phhYh5O
アイドル三人を照らす眩しいライト、客席で無数に揺れるサイリウムと、激しく飛び跳ねる観客たち。
その世界は、とても煌めきに満ちている。
もし――もし、このような舞台に立てるのなら……
58: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:42:52.10 ID:s8phhYh5O
じっと画面を見詰め、昨夕からずっと廻している思考に耽っていると。
「凛、次はどの曲入れる?」
59: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:43:23.06 ID:s8phhYh5O
決定ボタンを押すと、ピピピッと鳴る軽い電子音と共に、リクエストが登録された。
Alice or Guiltyは終盤に差し掛かっている。
60: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:44:07.71 ID:s8phhYh5O
「あーやっぱジュピターかっけえぜ!」
コーラを一口飲んでから、まゆみがガッツポーズを取ると、あづさはマイクに手を伸ばしながら云う。
「確かにジュピターもいいけどさ、わたしはやっぱり桜庭サマが一番かな」
61: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:44:42.89 ID:s8phhYh5O
しかしその曲は、凛の頭には入っていかなかった。
あづさの云った、『一億二千万人』――
その中から選び抜かれる僅かばかりのアイドルに、凡人の自分が到達できる確率など途方も無く小さな数値だと。
62: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:45:19.62 ID:s8phhYh5O
芸能界が居所となるかも知れない機会を得た、だって?
思い上がりもいいところだ。
バレエや歌を習っているわけでもない、ティーン誌のモデルをしているわけでもない。
63: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:45:48.38 ID:s8phhYh5O
そもそも、一回会っただけのあの変なオジサンの話を信じられる方がおかしいのだ。
ぼーっと二人を見ていると、いつの間にか曲が終わって、次は凛の番になっていた。
この話は、忘れた方がいい。
64: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:49:00.72 ID:s8phhYh5O
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