過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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663: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:39:23.72 ID:3+pD+bLQo
「この度はご迷惑、ご心配をお掛けしまして申し訳ございません」

入室一番、Pが担当教諭に頭を下げた。

「ちょっと困るんですよねぇ。CGプロさん、でしたっけ?
以下略



664: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:39:58.00 ID:3+pD+bLQo
「確かに我が校はねぇ、自主・自立が校訓ですよ。でもそれは生徒を信頼してこそ成り立つものです」

そして週刊誌の表紙をパンパンと叩いて続ける。

「――信頼する生徒にこのような犯罪紛いのことをされては、前提が崩れるんですよ」
以下略



665: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:40:30.46 ID:3+pD+bLQo
それら不満は、Pが全て身代わりにならなければならない。

「一点だけ弁護させてください。この写真は落とした携帯を拾った際のもので、
 決してやましいシーンではなく、彼女たちに何も落ち度は――」

以下略



666: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:41:00.07 ID:3+pD+bLQo
「だいたいねぇ、こんな年端も行かない高校生を、アイドルとか云う性奴隷に従事させるとは何たる了簡ですか。
 いい大人が恥を知りなさい!」

教諭の言葉はどんどんヒートアップし、一部に聞き捨てならない単語が出てきた。

以下略



667: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:41:32.72 ID:3+pD+bLQo
「お待ちください。アイドルは決して性奴隷ではございません。それはここにいる渋谷凛さんをはじめ、
 幾多関わる物たちを最大級に侮蔑する発言です。その言葉だけはご撤回頂かないと、承服致しかねます」

「たとえ性奴隷でなくとも欲望に塗れたくだらない産業であることに変わりないでしょう!」

以下略



668: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:42:13.26 ID:3+pD+bLQo
Pは再度教諭へ向き直って、顎を引いた。

「しかしこちらの渋谷凛さんは既に芸能人であり、いづれこうなるだろうことは予見されて然るべきでした。
 見通しの甘さは、ひとえに我々CGプロダクションの責です」

以下略



669: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:42:44.35 ID:3+pD+bLQo
Pは凛をかばうように立ち、懐から写真を複数枚取り出して教諭に渡した。

「先生はくだらないと仰りますが、彼女は多くの人々を笑顔にしてきました」

サマーフェスでの、凛のステージとその観客を写したものだった。
以下略



670: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:43:12.50 ID:3+pD+bLQo
「自らの知見の及ばない範囲を、くだらないという一言で片付けてしまうことこそ、くだらないと思いませんか。
 自らの知見の狭さを、渋谷凛という一個人に全て被せて、顔を背けているだけの状態を、
 果たして教育者として胸を張れますか」

「論点のすり替えはやめなさい! 現にそこの渋谷凛がアイドルなどと云うくだらないものとなったがために、
以下略



671: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:43:40.91 ID:3+pD+bLQo
凛の力一杯の叫びで、場は一切の静寂に包まれた。

誰も動かない。いや、動けない。

「ごめん、プロデューサー。ありがとう。嬉しかった」
以下略



672: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:44:18.80 ID:3+pD+bLQo
「……うん。元々そう云う話はぼちぼち出てたし、ほぼ自分の中では意思を固めてたんだ」

このまま私がここにいたら、まゆみやあづさに迷惑がかかっちゃうから。

凛は力なく笑って、小さく、そう呟いた。
以下略



673: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:44:44.63 ID:3+pD+bLQo
「いや……今回のことって、結局は素行のよくないあたしのせいなんだろ?」

まゆみの“所為”では決してないが、まゆみを出汁に使われたのは事実だ。

「これ、あたしが身を退いた方がいいんじゃね? その方が色々ラクなんじゃね?」
以下略



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