過去ログ - 五十嵐響子「何でもない日、特別な日」
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◆J6sXPQ/xjk
[saga]
2015/08/10(月) 15:34:29.70 ID:0slTzf2Do
「座って座って、どうぞどうぞ」
促され、いつもと違う様相のソファに腰掛ける。可愛い犬や猫の絵が描かれたシーツが掛けられ、山ほどにクッションが積み上げられたソファ。
私が事務所に来るまでの間に色々と準備してくれていたのだろうと思うと嬉しくて、クッションの位置などを試行錯誤している様子を想像してしまったのも相まって、頬が自然と緩んでしまった。
プロデューサーが鞄をごそごそと漁り、中から二つの箱を取り出しました。大きい箱と小さい箱、どちらも綺麗に包装され、ピンク色のリボンを巻かれている。
どっちが良い? なんて聞かれたら、どうしよう、やっぱり謙虚な感じに小さい箱を選んだほうがいいのかな。プロデューサーが私に選んでくれたプレゼント、中身が何か分からなくても、正直両方欲しいです。欲張りでごめんなさい。
あっ、でも待って、今日は私の誕生日ではあるけれど、あの二つの箱が私へのプレゼントとは限らないかもしれない。プロデューサーにとっては何でもないただの平日、そうだ、そうなんです、誕生日とは特別なような何でもない日。
危なかった、ぬか喜びするところでした。貰う気満々でどきどきしていた自分が恥ずかしい。
「誕生日おめでとう、響子ちゃんにプレゼント、これ両方あげる」
「やったー! あっ、いえ、ありがとうございます」
思わず立ち上がってしまい、またいそいそと座りなおす。大げさに、跪いて差し出された二つの箱を、頬をゆるゆるさせながら受け取ります。
にやけてしまうのはもう仕方ないです、嬉しいんです、格好悪くても許してください。
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