2:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:22:30.95 ID:MT23NhvlO
  そんな北上がぶらぶらと鎮守府の正面ゲートまでくると、何か騒々しい。 
  
  ひょいと、ゲートの影から顔を覗かせると、正規空母・赤城と運送業者がやいのやいのと叫んでいる。 
  
 「だから、おかしいと言っているでしょう!どうして大根が3倍もきているのに、お米が半分しかないんですか!?」 
3:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:23:43.77 ID:MT23NhvlO
  物陰で北上はくすりと苦笑した。 
  
  主計課の発注ミスはままある事で、半年前には馬鈴薯が3トンも届いて艦娘総動員で処理をしたものだ。 
  
  苦笑を噛み殺しつつ、北上は赤城の手伝いをするために近寄ってゆく。 
4:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:28:29.69 ID:MT23NhvlO
 「しかし、今回は大根ねぇ...」 
  
  北上は何とはなしに大根を手にとる。 
  
  下は真っ白で、上は青々としている。葉もみずみずしく、今朝とれたものだろうか。 
5:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:32:23.06 ID:MT23NhvlO
  それから、赤城と北上は厨房へ食材を運びこんだ。 
  
  赤城は先ほどから、調理場にある大根を見つめながらぶつぶつと「ふろふき」やら「田楽」やらと言っている。 
  
  鳳翔が任務にでているため、調理は赤城の担当になる。 
6:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:33:06.75 ID:MT23NhvlO
 「あはは、ごめんごめん。うーん...大根...あ、そうだ。大根めしなんてどう?」 
  
 「大根めし?」 
  
 「うん、それなら少ないお米でもたくさん食べられるからね」 
7:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:36:48.51 ID:MT23NhvlO
 「北上さん!おまたせしました!」 
  
  戻ってきた赤城の声で、北上の意識は引き戻された。 
  
 「あ、ありがとう赤城さん。割烹着なんて久しぶりだなあ」 
8:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:38:01.69 ID:MT23NhvlO
  二人は割烹着を着込み、調理に取りかかる。 
  
  まずは大根めしからだ。 
  
  大根は皮をむき、細かに切る。油揚げも細長く切っておく。 
9:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:38:59.05 ID:MT23NhvlO
  今、北上と赤城の前には、ほかほかと湯気をあげる夕飯が並んでいる。 
  
  まだ、規定の食事時間より2時間前であるが、これは調理者が味見と毒味をするという、決まりによるからだ。 
  
 「北上さん!早く、早く食べましょう」 
10:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:39:52.77 ID:MT23NhvlO
  大根めしをひとくち食べる。 
  
  しょうゆの香りと、ごま油の香ばしい香りがふわりと広がり、大根の甘みが米の甘みと合わさって 
  
 「おいしい…」 
11:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:40:34.61 ID:MT23NhvlO
 「あれ、どうしたんですか北上さん。もしかして、お口に合わなかったですか?」 
  
  そう、問いかける赤城へ 
  
 「よく、わかんない。おいしいのになんか、つっかえるような…」 
12:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 22:44:58.22 ID:MT23NhvlO
 「分かったみたいですね、多分、北上さんは艦娘になる前は大根めしをよく食べられていたんじゃないですかね。ほら、私たちって昔の事を思い出そうとすると拒絶反応がでるでしょう」 
  
  ぴしゃりと言う赤城の言葉は、すうと北上の心に染み込んで、得心を与えていく。 
  
 「うん、多分、そうだと思う。大根をかじったのも多分、体が覚えてたんだろうね」 
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