44:乾杯 ◆ziwzYr641k[sage saga]
2015/08/21(金) 23:12:41.17 ID:XKRiySpR0
「初顔合わせからはもう一年ほどにもなるが、つくづく思い知った。
とても兵器としては扱いがたい。彼女らにはれっきとした人格が備わっている」
「わたしも、そのように感じました。体温だって人となんら変わりなかった」
男が先ほどの握手の感触を思い出すように手のひらを見つめた。あるいは、何かを懐かしむかのように。
「だがしかし、軍には彼女たちを好意的に思っていない者も多い。
それについては、発揮される力への怖れも少なからず関係しているんだろうが」
「でしょうね。それに、担うべき役柄を奪われたと感じる者だって」
老公が神妙にうなずいた。軍船に乗り込んで戦ってきた海兵たちの自信や誇りといったものが、
あの少女たちの活躍によって粉砕されてしまってもなんら不思議ではなかった。
「軍に籍を置く者は、戦力として成り立つことで初めてその価値を認められる。機銃の腕然り、操船の腕然りだ」
「……はい」
「将下士官馬兵隊という言葉で皮肉られるように、戦場では兵卒より自分が乗る馬を守ろうとする上役もいるのが現実だ。
差別される当事者が快く思えないのは当然の成り行き。ゆえに危機感の誘発は避けられんだろう」
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