42:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:48:18.09 ID:dTNveX7eo
「えっと・・・非常に言いにくいんだけど」
「・・・は、はい」
「そんな事あったっけ・・・」
43:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:48:47.72 ID:dTNveX7eo
櫻子は堪え切れなくなり、ぷっ、と吹き出してしまった。
ひとしきりくっくっく、と笑った後、きょとんとしている向日葵に向き直って言った。
44:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:49:53.77 ID:dTNveX7eo
櫻子がその言葉を発した途端、せっかく緩みかけていた空気が、再び緊迫した。
向日葵は何かを言わんとするように口をぱくぱくさせていたが、
やがて意を決したように声を発した。
45:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:50:46.59 ID:dTNveX7eo
向日葵は再びぺこぺこし出すと、昨日驚いた拍子に本を一冊黙って持ち帰ってしまった事、
今日はその本を返しにきた事。更には櫻子がここで働いている人だと分からなければ、
黙ってそのまま帰ろうとしてしまっていた事を、正直に謝った。
46:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:51:50.48 ID:dTNveX7eo
本の事は、櫻子にとっては水に流してくれるのが一番だった。
なくなっている事に気付かなかった事が知れたら、綾乃にこっぴどく怒られるだろう。
幸い本はこうして戻ってきたのだし、結果オーライだ。
47:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:52:16.17 ID:dTNveX7eo
「あ〜いいっていいって! こうして返しに来てくれたんだし」
「で、でも・・・」
48:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:52:55.39 ID:dTNveX7eo
「まー、気にしない、気にしない。
私がいいって言ってんだからさ。ね?」
「っ・・・!?」
49:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:53:36.72 ID:dTNveX7eo
「向日葵かぁ。私の桜と、季節が隣同士だね。
いや〜、実はその本、なくなってたのに気付いてなくてさ。
言われなきゃ分かんなかったし、だから本当に気にしないで」
「は、はい・・・」
50:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:54:17.87 ID:dTNveX7eo
櫻子は向日葵にその本を取ってきて貰い、適当にパラパラと捲る。
どうやら向日葵の言っている事は本当らしく、どのページにも何も書かれていない。
51:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:54:56.49 ID:dTNveX7eo
「ところで向日葵は、本が好きなの?」
「好きか嫌いかで言われれば、好きな方だとは思いますが・・・」
52:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 00:55:52.63 ID:dTNveX7eo
向日葵は、自分がここに来る事になった経緯を、櫻子に話した。
子供の頃の事から、今起きている親とのすれ違いまで。
初対面の相手にも関わらず、素直に、隠さずに話せるのが不思議だった。
99Res/44.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。