82:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:23:21.10 ID:dTNveX7eo
図書館の一番奥。
山吹色の本がしまわれていたところまで来ると、向日葵は櫻子に向き直った。
83:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:23:59.78 ID:dTNveX7eo
向日葵は少し目を伏せた後、櫻子の瞳をまっすぐ見つめ、口を開いた。
「私は・・・櫻子さんの事が、好きです」
84:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:24:49.59 ID:dTNveX7eo
「そして・・・私の事を聞いても、茶化したりしないで、真面目に受け止めて下さいました」
「今も・・・こうして、ちゃんと私の瞳を見て、聞いて下さって・・・」
85:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:25:34.72 ID:dTNveX7eo
ぎゅっ、と。
徐々に崩れていく向日葵を愛おしく思い、
櫻子は今までとは違い、大事に大事に、向日葵を抱きしめた。
86:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:26:19.11 ID:dTNveX7eo
櫻子は向日葵と同じように、向日葵の瞳を見て口を開いた。
「私も、向日葵を初めて見た時は、天使って本当にいるんだなって、思った」
87:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:27:52.92 ID:dTNveX7eo
「でも私は、向日葵の昔の話を聞いて、どうしたらいいのか、分からなかった」
「どうしたら向日葵を笑顔に出来るのか、分からなかった」
「自分から聞いたのに、気の利いた事も何も言えない自分が・・・悔しかった」
88:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:28:22.93 ID:dTNveX7eo
「だけど」
「向日葵に『好きだ』って言って貰えて」
89:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:29:19.15 ID:dTNveX7eo
櫻子の言葉をじっと聞いていた向日葵の頬を、涙が伝った。
「やっぱり櫻子さんは・・・私が思った通りの人ですわ」
90:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:29:59.06 ID:dTNveX7eo
「私の傷は、たとえ名高いお医者様が、跡形もなく傷を埋めて下さったとしても」
「私の心の傷までは、消せるものではありません」
91:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:30:33.52 ID:dTNveX7eo
・・・最後の言葉はさておき、櫻子の頭には、あの詩が思い起こされていた。
(『気付けば再び隣同士』・・・か)
92:名無しNIPPER[saga]
2015/08/12(水) 01:31:05.05 ID:dTNveX7eo
櫻子はその詩を、ゆっくりと口にする。
「・・・にわかに信じ難いですが・・・今の、私達みたいですね」
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