過去ログ - 仮面ライダーぼっち&ぼっちライダーディケイド(完結編)  
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170:くすっち天頂@公認ぼっち党員 ◆A9VvCAXQOewN[saga]
2015/09/13(日) 23:06:08.22 ID:7YfIX9WR0
もともと彼女は、人よりも極端に体力がない。

このままオーバーワークを続けていれば倒れるのは自明の理だ。

俺もそうさせないよう全力で働いているが……。

と、憂鬱な気分になっていたその時だ。

「失礼します」

良く通る声とともに入ってきたのは、葉山隼人だった。

「有志の申し込み書類を提出に来たんだけど……」

「申し込みは右奥へ」

キーボードを打ちながら、顔を一切上げないままに雪ノ下が告げた。

「……人、減ってないか?」

書類の提出を終えた葉山がふとつぶやいた。

「ああ、まぁな。……誰かさんがステキな委員長を立ててくれたおかげだよ」

「え、なんのことかな?」

葉山は皮肉なまでに輝かしい笑顔を向けてくる。

「……だが、彼女にここまで負担をかけるとは予想外だったな……」

彼のその言葉はとても小さく、ほとんど俺は聞き取ることができなかった。

そして葉山は再び口を開く。

「欠席者が多く、仕事の大半を雪ノ下さんがやっている。これは……」

「ええ、その方が効率がいいし」

顔を上げた雪ノ下が答える。

「……でもそれも、もうすぐ破綻する」

その点に関しては俺も全くの同意見だ。

「そうなる前に、誰かをちゃんと頼った方がいいよ」

にっこりと、今度は心からの笑みで彼は雪ノ下に微笑む。

「そうか?俺はそうは思わない」

俺がそう言うと、葉山は雪の下に気づかれないくらいの一瞬、俺を睨んだ。

「実際、雪ノ下が一人でやった方が早いことも山ほどある。ロスが少ないのは大きなメリット

だ。何より、信じて任せるのは難しいぞ。能力差があり過ぎる場合は特に。……それに、この

文実の連中に、信じるに足る人間はいない」

俺は、人を信じて任せるということができない。その結果うまくいかなくても、自分一人を責

めればいい。あの時あいつがああしていれば、そいつがちゃんとやっていれば、そう後悔する

のはやりきれない。人にされたことでは諦めがつかない。

なら、一人でやった方がいい。

葉山は声には出さず嘲笑し、憐れむような眼で俺を見た。

「それでうまくいくのか?」

「あ?」

「それでうまく行くならそれでもいい。でも、現状回って無いわけだろ?そして、何より失敗

できない訳だ。なら、方法を変えていくしかない」

「っ……」

正論、まごうこと無き正論だ。

こいつの言ったとおりにしたとしても結局のところは失敗するだろう。だが、こちらが間違っ

ているというのも否定できない。



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