過去ログ - いろは「先輩と、アフタークリスマス」
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/08/16(日) 17:35:48.01 ID:HDGh0YhN0
青春とは嘘であり、悪である。

青春を謳歌せし俺は常に自己と周囲を欺いた。

自らを取り巻く環境のすべてを否定的に捉えた。

何か致命的な失敗をしても、それすら「本物」とやらの糧とし、

思い出の1ページに刻んだ。

例を挙げよう。俺たちは何度もすれ違い、元に戻ってはまたすれ違い、

暗中模索の中、手探りで進んではそれを「欺瞞はいやだ」と叫ぶ。

考えてもがき苦しみ、あがいて悩む。計算し、計算しつくし、

答えを出してひとつづつ、消去法で残ったものが心と嘯く。

俺たちは「本物」の二文字の前に、どんな一般的な友情も、

人間関係も捻じ曲げてきた。俺たちにかかれば涙もすれ違いも、

部活も恋心でさえ本物の通り道でしかなかった。

そして俺たちはその涙に、そのすれ違いに特別性を見出す。

自分たちのすれ違いは遍く本物の一部分であるが、他者のすれ違いは、

本物ではなくただの上っ面にして敗北であると断じた。

仮にすれ違うことが本物の糧であるなら幾度となく、すれ違い続けた俺たちの関係も

本物でなくてはおかしい。しかし、俺はそれを認められない。

なんのことはない。彼女らが俺に好意を持ち、恐らくながらそれが、恋心と呼ばれるものだった

から、それ以上を躊躇したのだ。涙もすれ違いも躊躇も俺も

糾弾されるべきなのだ。

俺は悪だ。

ということは逆説的に青春を謳歌せず、本物など微塵も求めなかったほうが、

現実はうまくいっていたのかもしれない。

結論を言おう。



俺の本物はまだ見つかっていない。

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