過去ログ - 卯月「プロデューサーさんの、本当の幸せを」
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◆8g8ZKJa8Ps
[saga]
2015/08/24(月) 01:53:28.93 ID:20TbIrfu0
いえ、そんなわけがありません。だってプロデューサーさんはプロデューサーさんなんですから。きっとデートといってもディナーをしておしゃべりをして、二人をお家まで送り届けるだけに決まっています。
私は涙をぬぐって、事務所に戻ります。ちょうど、戸締りを終えたプロデューサーさんたちが出てくるところでした。
――しっかりと。まるで恋人のように、手を繋いで。
それを見て、何かが壊れたような気がしました。
卯月
「未央ちゃん!」
街灯の位置を確認して、私は少し離れた所から声をかけました。プロデューサーさんから頂いたキャンディの包み紙をポケットから出して、恥ずかしい芝居を打ちます。
卯月
「あのね、未央ちゃん……これ、さっきね、未央ちゃんのカバンから落ちたのを拾ったんだけど……その、渡すのも恥ずかしいし、かといって私が持っているわけにもいかなくて……だから、ごめんね、返すね」
私が持っている包み紙は、向こうからは逆光でほとんど見えないはずです。四つ折りになった、そのシルエット以外は。
卯月
「未央ちゃんも女の子だから……好きな人と……そういうことは……わかるけど、もうちょっと気をつけてほしいというか……他にも落としてない、よね? もし誰かに拾われたら……終わりだよ?」
未央ちゃんは顔を真っ青にしてポーチを開けました。薄闇のなかで指がせわしなく何かを探して、やがてふっと力を抜きます。明らかに安堵したような息でしたが、すぐに未央ちゃんはその呼吸を止めました。恐る恐る私のほうを見ます。ようやく気付いたみたいです。
私がキャンディの包み紙を広げると、未央ちゃんは世界が終ったような顔をしました。たぶん、私も同じ顔をしていると思います。
凛ちゃんは何も言わずに、静かに目を伏せました。ということは凛ちゃんもそういうことです。知ってたんですね。
プロデューサーさんの表情は暗くてよく見えません。見たくもありません。
卯月
「……どうして?」
胸の奥にたくさんのものがつかえています。吐きだしたいのに、苦しいのに、言葉になりません。
ぐるぐると渦巻いて、重くなって、どろどろになって、どうしようもないそれが、ぶつりと落ちました。
熟しすぎた実が腐り落ちるように。どす黒い嫉妬が、お腹の底に落ちました。
凛
「……好き、だったから」
その一言で、島村卯月の幸せは終わりました。
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