過去ログ - モバP「事務所に媚薬が蔓延してるだって?」
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5: ◆Freege5emM[saga]
2015/08/24(月) 02:22:14.96 ID:KeG1z5Blo





今夜もどこかのホテルで、私と貴方は身体を重ねる。
一度一線を超えてしまえば、あとは驚くほど呆気なかった。

貴方は初夜と違って、宝物を磨くように、私を隅々まで優しく愛撫してくれる。
それが私はじれったい。もどかしい。私が望んでいるのはそれじゃない。

そんなアイドルみたいに丁寧に扱わないで。
私が望んでいるのは貴方が剥き出しにする欲望なのだから。



それでもたっぷり撫でられて、火照らされて、私の身体が盛り上がる。
貴方の欲望をスムーズに受け入れられるようになる。
貴方とつながるのを待ちわびている。きっと貴方もそうでしょう?

貴方とつながるとき、私は自分が上になって貴方に覆いかぶさる姿勢が好きだ。
これなら、身体の中でつながりながら、同時にキスができる。
セックスまでしたといっても、やっぱり私にとってキスは特別なまま。

でも、貴方はこの姿勢をそんなに好かないのね。動きが物足りないのかな。



私を膝に乗せながら、二人してベッドに倒れ込む。
私はそのまま腰を抱えられて、貴方に奥をこつこつと責められる。
身体の中から、耐え切れないほどいっぱいの思いが溢れでて、私は皮膚の上も下もぐらぐらと沸き立つ。

貴方が動く。熱が伝わる。体の中が突かれて跳ねる。息遣いが鼓膜をくすぐる。
貴方の顔が私を見下ろしてる――ああ、唇が、血が垂れそうなほど激しく貪るキスが、欲しい。

私の体が、もう貴方の存在以外、何も感じられない。

やがて、貴方がびくんと体を震わせると、
ちゃんと貴方を最後まで受け止められたんだ、と安堵する。
こうしている間は、貴方はプロデューサーではなく、私もアイドルじゃないんだ。



私達は、子供が新しい遊びに夢中になったように、暇と場所さえあれば体を重ねた。

きっかけはクスリだったけど、そんなのなくったって私達はつながっていられる、なんて。
そうへ言い聞かせるように、私は体を開いて貴方を迎え、貴方は私の中で果てるまで動いた。

いつしか私は、夜空に月を探さなくなった。



関係が惰性になってきたある夜、私が目覚めると、貴方は窓から夜空を見上げていた。
摩天楼が突き刺さる東京の空は、星が見えないのに、貴方は黙って目線を彷徨わせていた。

私が何を見ているか聞くと、貴方は小さな声でこう返してきた。



――月が見えないな。新月か。



その言葉が聞こえて、もう私はアイドルに戻れないんだと悟った。





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