過去ログ - モバP「事務所に媚薬が蔓延してるだって?」
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6: ◆Freege5emM[saga]
2015/08/24(月) 02:22:50.24 ID:KeG1z5Blo


●【緒方智絵里の場合】




――こっちの『お仕事』なら、おどおどしてるとか、気にしなくていい。そういう需要もあるから。



プロデューサーさんからそう言われた瞬間、この業界に詳しくない私でも、
その『お仕事』が何か察しがつきました。

――見返りは大きい。が、今なら、断ることもできる。
――何せ、割に合ってるかどうかは……智絵里、キミが判断することだ。



わたしは、損得勘定を計れるほどの打算がありません。
そんな動機でアイドルをやっていないのです。



声も小さくて、お話もうまくできないわたしが、何かの間違いでアイドルにスカウトされて、
養成所でも落ちこぼれていたわたしを、今のプロデューサーさんが見つけてくれた。

レッスンは比べ物にならないくらい厳しくなりました。

でも、『智絵里はできる子だから』とプロデューサーさんが言ってくれると、
こんな自分でも誰かに期待されてるんだ……と思えて、むしろ嬉しくなりました。

そのことがわたしの支えなんです。



プロデューサーさんが期待してくれてる……見捨てないでいてくれている……。
わたしがアイドルをする理由は、それだけなんです。
ゼロかイチだけなんです。計算なんてありません。

そのプロデューサーさんが、わたしができるお仕事として持ってきたのなら、
わたしはそれを信じて受けるだけです。



――そうか……智絵里は初めてだから、これを持って行くといい。

そう言って、プロデューサーは小さな香水瓶に入った、赤い液体を手渡してくれました。
それは、昔家族で夏祭りに行った頃に見た、かき氷のイチゴ味シロップを連想させました。

――お守り代わりに……一ノ瀬センセイ謹製のシロモノだ。いざとなったら、迷わず使え。



四つ葉のクローバーと、どっちが頼りになるでしょうか……と思いながら、
わたしはプロデューサーさんから香水瓶を受け取りました。



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