過去ログ - モバP「事務所に媚薬が蔓延してるだって?」
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9: ◆Freege5emM[saga]
2015/08/24(月) 02:25:25.45 ID:KeG1z5Blo




初めての『お仕事』の記憶は、そこで途切れています。

目が覚めたとき、おじさんはいなくなっていて、
代わりにプロデューサーさんが迎えに来てくれました。

自分のカバンをひっくり返しましてみると、
わたしの私物のなかに、空になった香水瓶が一つありました。



わたしは、もう二度とあの香水に触れないと心に決め――それを二週間後の『お仕事』で覆させられました。
あの香水で誤魔化さなければ『お仕事』で体を触られる苦痛や嫌悪に、わたしは耐えられなかったのです。

痛みさえなければ、あのイチゴ色を合図にして、心ここにあらずを決め込む。
それでなんとか当座をしのぐことができました。
体を明け渡しても、心までは――それが、わたしのちっぽけな意地でした。



けれど、その意地も間もなくどこかへ消えてしまうと思います。

この間、家でお風呂掃除をしているとき、
お風呂用洗剤を浴槽に吹きつけた瞬間、わたしの体の奥がずくん、と疼きました。

わたしの体は、もう音だけでダメになるほど、条件反射を刷り込まれていました。
ここまでおかしくなってしまったわたしを、プロデューサーさんは見捨てないでくれるのでしょうか。

蕩ける体と、惨めな心の間で、わたしは浴室にへたり込みました。




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