過去ログ - 新選組〜あるいは沖田総司の愛と冒険〜
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67:名無しNIPPER[saga]
2015/09/24(木) 00:07:50.54 ID:17NbgLAjO

ワインと卵サンドが来た。どちらも、まあまあ悪くない味だった。家族と仕事を放り出してきた後ろめたさを、俺は忘れつつあった。


正面で誰かが動いた気配がした。その時初めて、いつの間にかカウンター席に客が来ていたのに気付いた。


ブロンドの中年女性。30半ばから40代初めといったところで、年相応な落ち着いた柄のドレスに身を包み、首にはネッカチーフを巻いている。
俺なりに、まあ悪くない服装のセンスだなと思った。

その女性が俺を見て、微笑みながら会釈した。

俺はワイングラスを口に当てたまま、多少不作法ながら会釈を返した。
女性が立ち上がり、俺の席に歩み寄ってくる。右手に持ったグラスには琥珀色の液体とロックアイスが揺れていた。


「よろしいかしら?」

「どうぞ」


女の背後から、ローストビーフの皿を持ったウエイターが足早に近寄ってくる。俺は卵サンドの皿を脇にどけてスペースをつくった。
ウエイターが立ち去るのを見送って、女は俺の向かいの椅子に腰を下ろした。


「きょうご到着ですか?」

「ええ。実はたった今と言っていいくらいです」

「それは、お疲れのところごめんなさい。いえね、私はここに長く逗留してる者なので。来られたばかりの方はすぐに分かるんです」


ほぼ完璧と言っていい発音の英語。強いて言えば、微かに東欧風の訛りが感じられるといったところだった。



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