過去ログ - 怒れない姉 (オリジナル百合)
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1: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 17:17:36.73 ID:rrRDANmy0
姉妹百合
胸くそ注意




お姉ちゃんは私にとって都合の良い存在だった。

「お姉ちゃん、宿題やっといてよ」

「うん、いいよ。どこ、したらいいかな?」

何を頼まれても、嫌な顔一つ見せない。

「お姉ちゃん、ジュース買ってきてよ」

「うん、いいよ。何がいいのかな?」

それに気が付いたのは、私が中学二年生、お姉ちゃんが高校一年生の時だった。
お母さんに頼まれたことも、近所の人に頼まれたことも、学校の友達や先生に頼まれたことも、
すべて嫌な顔一つ見せずに、お姉ちゃんは請け負っていたようだ。

お姉ちゃんが何かを断ったりする所を一度も見たことがなかった。
お姉ちゃんはなんでも言うことを聞いてくれるし、
きっとお姉ちゃんは頼まれごとをするのが好きなそういう性格なんだと思っていた。
もちろん、両親の前であんまりお姉ちゃんに我がままを言っていると怒られるので、
ばれないようにこっそり頼んでいた。お姉ちゃんは、絶対に告げ口しないのも分かっていた。

昔から大人しくて、おばあちゃんには思慮深な子だと言われ、
私が同じ高校に上がった時には、そういう大和撫子的な雰囲気から、
一部の男子から熱狂的な支持もあった。



でも、私たちの誰もが本当のお姉ちゃんを知らなかった。

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2: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 17:35:48.32 ID:rrRDANmy0
―――
――



以下略



3: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 17:45:15.96 ID:rrRDANmy0
母親がしていた家事の全てを、お姉ちゃんであるみゆきがしていた。
一応、母親が出かけてから私も何か手伝おうかと言ってはみたけど、
大丈夫と言われたのでそのまま今に至る。

新聞を広げてテレビ欄を一通り見て、
以下略



4:名無しNIPPER[sage]
2015/09/02(水) 17:56:49.62 ID:Ju/gd7pdO
はよ


5: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 18:01:37.92 ID:rrRDANmy0
『中学校教諭――太田正信さん(38歳)暴力的・差別的な発言で保護者から非難の声――』

端っこの方に顔写真があって、
無表情で細身の河童顔が写っている。

以下略



6: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 18:13:06.71 ID:rrRDANmy0
――――
―――



以下略



7: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 18:25:43.35 ID:rrRDANmy0
丁寧に雑草が刈り取られた校舎裏の花壇の前に、男女が二人。
お姉ちゃんと、もう一人は校内でもけっこう有名な野球部のエースだった。
壁際にぴたりと張り付いて、耳をそばだてた。

「あのさ、みゆき……好きな人とかいんの?」
以下略



8: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 18:31:06.08 ID:rrRDANmy0
「それじゃ、明日放課後に街に行こうよ」

「うん」

「あ、携帯持ってる? メアド交換していい?」
以下略



9: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 18:37:37.46 ID:rrRDANmy0
次の日。
お昼休みにエースとお姉ちゃんとすれ違った。

「妹いたんだ」

以下略



10: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 18:43:12.17 ID:rrRDANmy0
ふと、横目で見た柿島先輩は笑っていた。
それが、なんだか怖くて、私は適当に喋ってその場を去った。


「しいなー、柿島先輩と知り合いだったの?」
以下略



11: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 18:52:47.21 ID:rrRDANmy0
友人を張り飛ばしそうになったけど、我慢して一緒に教室へ戻った。
教室へ戻ると、同じ中学だった生徒が声をかけてきた。

「ねね、太田が捕まったらしいよ」

以下略



12: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 19:02:25.08 ID:rrRDANmy0
その日の放課後、お姉ちゃんはデートに出かけた。
私には友達の家に宿題をしに行くと言って、
夕飯にミートソースのパスタを作り置いて出かけて行った。

私は、イライラしながらそのパスタを食べている。
以下略



13: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 19:10:56.64 ID:rrRDANmy0
太田に殺意を抱いたが、もうすでに捕まっていたのを思い出す。
知らなかった。
こんなこと。
お姉ちゃんは一度だって素振りだってみせていない。
母親にも父親にも言ったことがないはずだ。
以下略



14: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 19:19:56.94 ID:rrRDANmy0
お姉ちゃんが帰ってきた。
時刻は9時を回っていた。
玄関に出ると、エース先輩もいた。
お姉ちゃんは担がれるように、立っていた。

以下略



15: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 19:25:36.34 ID:rrRDANmy0
「しいなちゃん……」

「虫入るから、早く家に入ってよ」

「うん……」
以下略



16: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 19:35:54.93 ID:rrRDANmy0
「みゆき」

玄関から声を張り上げる。

「は、はいッ」
以下略



17: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 19:45:20.76 ID:rrRDANmy0
弱弱しく否定するその態度になぜか腹が立って、
私は怒鳴った。

「違わないでしょ!? なんで言わないのさ!」

以下略



18: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 19:52:50.36 ID:rrRDANmy0
お姉ちゃんがお漏らししたことに気が付いて、

「わ……ッ」

私も後ろに後ずさって尻もちをついた。
以下略



19: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 20:00:45.92 ID:rrRDANmy0
次の日――。
お姉ちゃんは普通に朝ごはんを作っていて、
お弁当をよそおってくれて、
私と一緒に登校した。

以下略



20: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/09/02(水) 20:04:30.05 ID:rrRDANmy0
それから柿島先輩は昨日の夜を彷彿とさせるように、急ぎ足で校舎へ向かった。

「ねえ、昨日柿島先輩と何があったの……」

お姉ちゃんは黙る。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/09/02(水) 20:14:11.08 ID:KjG/QGwC0
秀作秀作。心情も優れてますね。
お姉ちゃんの周りはクズが多いなwww


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