11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:19:19.36 ID:rVNZ4GiQo
「今は何かやってたんですの?」
「え……っと、宿題」
「え!? あなたが自分から宿題!?」
「な、なんだよ! 私だって宿題くらいやるわ!」
「驚きですわ……本当にちゃんとしてきたんですのね」
櫻子へのツッコミも入ってきてだんだんと昔のような会話のテンポを思い出してくる。櫻子は先ほど家の前で話したときほど気まずそうにはしておらず、ぱくぱくとクッキーを食べてくれた。
「さっき忙しいって言ってたのはこれでしたのね。勉強してたなら、ちょうど甘いもの作ってきてよかったですわ」
「うん、嬉しい」
「どんな内容をやってるんですの? わからないところとかあったら私が……」
「ああっ、いいって! 自分でできるから……!」
「あら……そう?」
私が立ち上がって勉強机の上の問題集に手を掛けようとすると、櫻子は慌てて制止した。
ちらとだけ視界に入った内容は数学……それも初歩的なものではなく、私の学校の授業で行うものと大差ないように見えた。
「あなたの学校もそこそこ大変そうですわね……まだ進路とかは明確に決めてないんでしょう?」
「うん……それは全然」
「まあまだ高一ですしね……私も全然ですわ。部活とかは入ってますの?」
「ううん、何も。結構誘われるんだけどね」
「あ、バイトしてるんでしたっけ?」
「バイトもしてたけど……今はやめちゃった。家で一人にしてる花子が寂しそうだったからさ」
「そう……」
「私のことなんかいいじゃん。向日葵は? 向日葵はどんな感じなの?」
「私? ええと……」
話題は私の学校生活の話に切り替わり、櫻子は興味深そうに聞いてくれた。昔のように茶化してきたりすることはあまりなかったが、やはり櫻子との会話は他の誰とも違って特別な感情を私に与えた。
心が緩やかに落ち着き……それでいてどこかドキドキもしていて、それが私には心地よかった。しばらく会えなかったことで私の中には中学生の頃の櫻子の面影が強く残っていたので、今の少しだけ大人に近づいた櫻子を間近で見てるだけでも嬉しかった。
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