36:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/07(月) 00:40:13.40 ID:rVNZ4GiQo
「な、撫子さん……!?」
「ふふふ……ひま子ひさしぶり」
「び、びっくりしましたわ……あぁ驚いた……///」
「そんなに?」
「だってこんなところで……私に話しかける人なんていないってずっと思ってましたもの。本当に誰かと思った……」
久しぶりに会った撫子さんはやはりまた少し大人っぽくなっていた。だが表情を変えずに誰かをからかったりするような一面は変わらないらしい。
しとやかな白いファーコートを着こなす姿はとてもおしゃれで、ずっと馴染み深い人であるはずなのに……息を飲むくらい綺麗に思った。
「こっちに帰ってきてたんですか? 気づきませんでしたわ」
「ううん、ちょうど今帰ってきたとこ。大学の期末試験が終わって今日から長い春休みでさ……しばらくはこっちにいるんだ。それにしても、この時間帯ならひま子がこの路線使ってるかもと思ったけど……ほんとにいたからちょっと笑っちゃった」
「あら、じゃあ私が一番最初の出迎え人ですのね」
「そういうこと。まあ帰ってくることは自体は、櫻子と花子には電話してあるけどね」
「…………」
櫻子。
その名前が出た瞬間……私はきっと、自分でも無意識に何らかの変化を起こしていたのだろう。
だから撫子さんの声のトーンも、ここから変わったのだ。
「ひま子と話したいことがあるんだけど……この後時間ある? どこか話のできるお店に行こう」
「……はい」
別に怒られているわけでもないのに……私はしゅんとしてしまった。
きっとそこでする話は、私が今の今まで考えることすら避けていた話なのだろう。
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