11: ◆Freege5emM[saga]
2015/09/07(月) 03:12:26.93 ID:DhP+ihnQo
●
「――そこにおわすのは、どなた?」
洋館の方から、私を呼ぶ声が聞こえました。それは、私の母とどこか似ている薄橙色でした。
私が洋館の方を見ると、これまた私の母と同じぐらいの外見の夫人が、
洋館の扉を開けて、こちらを向いていました。私が見た白い少女の母親でしょうか。
「私は……ニンバスの……その鳩の飼い主、です」
こう私が告げると、夫人は申し訳無さそうな顔で私に詫びてきました。
ニンバスを洋館へ入れたことを、私が咎めに来たと思ったのでしょうか。
「いえ、私は……ただ、上の方と、話がしたくて……」
私が名乗ってからそう告げると、夫人は私を洋館へ招き入れてくれました。
私が、洋館の二階――白い少女とニンバスがいる部屋へ入ると、
彼女はあの気後れするほどの美しくか細い姿のまま、私へ微笑みかけました。
彼女の体は、ふわふわと膨らんだ白いベッドの中に、その半ばをつつましく埋もれさせて、
その横ではニンバスが首を傾げていました。
私が彼女のベッド際に、花弁が不自然に欠けた青紫の花を見つけて、
「ニンバスの脚へ結ばれた花弁は、もしかして――」
と私が問うと、彼女は私に皆まで言わせず微笑んで頷きました。
34Res/50.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。