過去ログ - モバP「花物語」
1- 20
4: ◆Freege5emM[saga]
2015/09/07(月) 03:06:40.66 ID:DhP+ihnQo



「く……クラリス、さん、ですか……?」

わたしは、そのシスターさんの顔を見知っていたので……
あっけにとられた頭で、なんとか名前を喉から絞り出しました。

「あら、覚えていてくださったのですか。光栄ですね」

クラリスさんはそう言いましたが、わたしにとっては……
クラリスさんがわたしの顔と名前を覚えていることが意外でした。

クラリスさんは、養成所でとても目立つ方でした……。
まず……服装とかがすぐそれとわかるシスターさんで……
ブロンドに白い肌と、ヨーロッパ生まれみたいな名前と外見なのに、神戸育ちで日本語が流暢……
あと厳しいレッスンでも、穏やかな表情と声音を崩さなかったり……とにかく色々と印象的な方です……。



それに比べてわたしは、人の目に留まるようなものが、何もなくて……
あ、ダメな所が悪目立ちしてたのかもしれませんが……

同じ養成所で頑張ってる方に、サボってるところを見られたなんて……っ

わたしは消え入りたくなりましたが、体は相変わらず手も足も動かないままで、
気まずいまま顔を伏せることしかできませんでした。



「隣、よろしいでしょうか?」

何も言えないわたしの隣に、クラリスさんが座りました。

「あと、貴女と何かお話できれば、と思うのですが……」

それから、クラリスさんは、何事かわたしに話しかけてくれました。

わたしは最初、ろくすっぽ返事もできなかったのですが、クラリスさんが隣にいてくれると、
喉とか、胸のあたりが少しずつ解れていく気分がして、いつしかわたしは自分のことを話していました。

……わたしは、アイドルになることができるんでしょうか、と。

一度口に出すと、あとは勝手に言葉が流れ出て止まりませんでした。
自分はダメなんじゃないかという不安があって、それを認めるのも怖くて……

ほかにも色々混ざったもの、辛いこと、苦しいこと、
それでも誰にも言えなかったことが、口をついて溢れて……
わたしのそれが尽きるまで、クラリスさんは黙って聞いてくれました。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
34Res/50.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice