過去ログ - 鳥海「秋は好きですか?」【艦これ】
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9: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/09/11(金) 10:22:01.68 ID:glDuTgvI0



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十月二十五日。

午前中の執務が終わろうかという頃、島風と巻雲に夕食の約束を半ば強制的に取り付けられた。

いつもなら助け船を出してくれる鳥海も島風と仲がいいからかこの時は甘かった。

まあ予定があったわけでもない。こういう誘いは断るよりも受けた方がいいのも確かなはず。

夕飯時の混雑を避けるために普段よりも二時間遅い時間を条件にしたら快諾されてしまった。

こうなってくると俺としては急ぎの予定でもない仕事もこなしながら時間を潰し、鳥海は定時で解放した。

晴れ渡っていた空も執務が終わる頃には水平線を赤に染めていて、夜の青い闇がその上に覆い被さり始めていた。

「明日もよろしく」

差し障りのない挨拶に鳥海が微笑み茜色の瞳に見つめられる。

その笑顔に胸が何かを急き立ててるように軋んだのは――きっと秋だからだ。

改二艤装に換装して以来、鳥海は碧色のジャケットにスリットの入った白のスカート、長女次女を意識したと思われるジャケットと同じ色の帽子を被っていた。

変わったのは見た目だけの話じゃない。以前はほとんどなかったらしい軍艦時代の記憶も取り戻している。

それに何より俺たちの関係もずっと深くなった。俺にはもう……。

不意に誕生日のことが頭を過ぎった。

そしてすぐに考え直す。この話はしない方がいいと。

当日にそんな話をするのはその気もないのに祝えと言ってるのと変わらないのではないか。

何よりも感傷の方が話すのを拒んでいた。

だから黙っておこうと決めた。

どんな顔をして、どんな言い回しで、鳥海の戦没日に生まれたなんて言えと?



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