過去ログ - 「Close to …side.Y」(オリジナルSS)
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24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:28:55.13 ID:t+SnPtR2o
 ――――

 中間試験が終わった。しばらくのんびりできる、なんて周囲は浮かれているけれど、期末試験までは結構すぐだ。
 久しぶりに、一橋くんを誘おうと、私は放課のチャイムを待った。
 雨がザアザアと降っていたから、誘い文句は「雨宿りがてら、一緒に勉強はどう?」とでもしようかなんて考えながら。
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:29:47.60 ID:t+SnPtR2o
 一橋くんは私がもたもたしている間に、教室を出てしまったらしい。思わず舌打ちをしてしまう。

 すれ違う人、先を歩く背中に一橋くんの姿がないか気を配りつつ、雨の音が煙る廊下を足早に歩いて行く。
 結局、彼を見つけられたのは昇降口へ着いてからだった。

以下略



26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:32:27.57 ID:t+SnPtR2o
 ――――

「一橋くん、期末試験はどうだった?」

 こうして、彼に話しかけるのもずいぶん久しぶりな気がする。
以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:33:15.34 ID:t+SnPtR2o
 お互いの連絡先を交換してから二人で教室を出ると、ごく自然に並んで廊下を歩いた。
 昇降口に着くまで、ずっと期末試験の問題について話していたけれど、
 一橋くんからクソ真面目と思われていたらどうしようかと少し心配になる。
 それにしたって、私と彼との共通の話題なんて勉強と普段の学校生活くらいのもので、他に話しようもない気がするけど。


28:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:34:10.86 ID:t+SnPtR2o
「つーちゃーん!」

 校門へ差しかかると、いつだかのように陰から奈那が飛び出して、一橋くんにひっついた。

「ごきげんよう、秋柴さん」
以下略



29:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:34:44.89 ID:t+SnPtR2o
「じゃ、私こっちだから」

 挨拶もそこそこに私は踵を返して歩いて行った。

「おう、またな」
以下略



30:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:36:23.97 ID:t+SnPtR2o
 ――――


 私は遠くで、貴方を待つ。ずっと、ずっと待つ――。

以下略



31:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:38:39.00 ID:t+SnPtR2o
 ――――

 夏休みに入ってから、週に二、三回ほどのペースで一橋くんと二人で勉強した。
 始めは近くにある図書館へ行っていたけれど、勉強机は私たちと同じような夏休み学生が席を埋めていた。
 どうしても座れないときは喫茶店へ移動して、ノートを広げた。
以下略



32:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:39:15.33 ID:t+SnPtR2o
「どうしたの?」

「いや、その……俺、ちょっと今月厳しくて……」

「あ、……ごめんなさい、全然考えてなかったわ」
以下略



33:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:40:00.14 ID:t+SnPtR2o
 一橋くんはゴニョゴニョ渋っていたけれど、私が歩き出すとあとについてきてくれた。
 おおかた、一人暮らしの女の子の部屋に、自分が訪ねるのはマズいと思っているのだろう。
 彼が私のことを異性として意識してくれているというのは嬉しかった。
 私も、彼が異性だと改めて意識すると、頬が熱くなる。


34:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:40:43.18 ID:t+SnPtR2o
「どうぞ、狭いところだけど……」

「それじゃ、お邪魔します」

 一橋くんは恐る恐るといった様子で靴を脱いで、私の部屋へ上がった。
以下略



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