過去ログ - 「Close to …side.Y」(オリジナルSS)
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32:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:39:15.33 ID:t+SnPtR2o
「どうしたの?」

「いや、その……俺、ちょっと今月厳しくて……」

「あ、……ごめんなさい、全然考えてなかったわ」
以下略



33:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:40:00.14 ID:t+SnPtR2o
 一橋くんはゴニョゴニョ渋っていたけれど、私が歩き出すとあとについてきてくれた。
 おおかた、一人暮らしの女の子の部屋に、自分が訪ねるのはマズいと思っているのだろう。
 彼が私のことを異性として意識してくれているというのは嬉しかった。
 私も、彼が異性だと改めて意識すると、頬が熱くなる。


34:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:40:43.18 ID:t+SnPtR2o
「どうぞ、狭いところだけど……」

「それじゃ、お邪魔します」

 一橋くんは恐る恐るといった様子で靴を脱いで、私の部屋へ上がった。
以下略



35:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:41:29.83 ID:t+SnPtR2o
「一人暮らしって、やっぱり大変?」

「まあ、それなりかな。今はもう慣れたけど、最初は大変だった」

「そういや、授業中に居眠りしてたもんな」
以下略



36:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:42:12.01 ID:t+SnPtR2o
「試しに、食べてみる?」

「箱崎の手料理?」

「あ、うん……えと、今から作れば夕飯にちょうどいいかも、だし」
以下略



37:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:43:17.61 ID:t+SnPtR2o
 ――――

 楽しいことはあっという間に終わるもので、学校が始まろうとしていた。
 けれど、私は夏休みが終わることを憂いはしない。
 一橋くんと二人きりで勉強ができた夏休みは楽しかった。
以下略



38:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:44:40.58 ID:t+SnPtR2o
 以前よりも三十分早くセットしておいた目覚ましで起きた私は、手早く二人分の弁当を作り、手ぬぐいで包んだ。
 この手ぬぐいは前もって買っておいたもので、一番に手に取ったのは可愛い柄のものだったが、
 一橋くんが友だちにからかわれるといけないから、あえて地味なものを選んだ。
 でも、中身は色合いにも気を使ってとてもカラフルだから、きっと食べている間も楽しんでもらえると思う。


39:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:45:18.46 ID:t+SnPtR2o
 私は身繕いを済ませて部屋を出た。
 もう以前の通学路は使わない。ぐるっと遠回りになるが、まずは一橋くんの家へと向かう。
 彼の家の場所はこっそり調べておいた。あんまり驚かなければいいけれど。

 ほとんど駆け足で道を行き、一橋くんの家の前に着いたのは午前七時くらい。
以下略



40:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:46:15.12 ID:t+SnPtR2o
 アレコレ考えているうちに、ようやく一橋くんの部屋のカーテンが開いたようだった。
 窓のほうを見上げると、ちょうど彼と目が合った。
 手を振ると、彼は怪訝な表情を浮かべ、玄関の外へパジャマのまま出てきた。

「おはよう、一橋くん。ふふっ、パジャマのままで、みっともないわよ」
以下略



41:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/19(土) 22:47:14.93 ID:t+SnPtR2o
 本当は一緒に登校したかったけど、一橋くんの様子を見ると準備には時間がかかりそうだったからやめておいた。
 私は何時間でも待てるけれど、彼はきっと気を使ってしまうだろうし。

 さすがに八時くらいまでは、教室はガランとしていた。
 八時を少し回るとクラスメイトが続々と登校してくる。
以下略



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