過去ログ - 赤木しげるがニセコイにくさびを打ち込むようです
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1: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:05:17.24 ID:UrhnCUS70
 だいたい七巻のクリスマス後あたりを想定しています。話の都合上、イベントが前後しているかもしれません。
 まあ暇つぶし程度に見てくれたら幸いです。




万里花「これで何回目の敗北なのでしょうか……」

 高校からの帰り道、橘万里花は弱々しくたずねた。

本田「通算して67回目となります。一条さんが万里花お嬢様ではなく桐崎さんを選んだのは」

万里花「……。では、あの楽様がゴリラ……もとい桐崎さんの手を引っ張って出ていったクリスマス以来、楽様がわたくしのお誘いを受けた回数は」

本田「ゼロになります」

万里花「はぁ〜。楽様は桐崎さんとの行事には参加して、私の申し出にはなしのつぶて。最近はまんざらでもない顔をしていらっしゃいますし」

本田「一条さんが桐崎さんを見つめた回数さんを見つめた回数もありますが、聞きますか?」

万里花「もう聞きたくありません。分かっております」

本田「左様ですか」


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2: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:06:27.90 ID:UrhnCUS70
万里花「最初は高校デビューの衝動で付き合った程度かと考えていましたが、最近はまんざらでもない雰囲気でもありますし……あるいは、もう」

本田「お嬢様、帰り道はこちらですが」

万里花「かまいません。少し寄りたいところがあるのです」
以下略



3: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:07:30.16 ID:UrhnCUS70
にゃー

万里花「あら、ねこですわ。するするとどこへ……あっ!」

万里花が視線でねこを追っていくと、そのさきには目当ての墓があった。
以下略



4: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:08:25.82 ID:UrhnCUS70
「この墓か? ……くく、そういうことにしておこう。それよりも嬢ちゃん、話してみな。こんなとこ来たってことは、勝ちたい勝負があるんだろう?」

万里花「え、ええ」

「……フフッ。おおよそお嬢ちゃんは、意中の人に振られたか、奪われたか……あるいはその一歩手前か……」
以下略



5: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:09:24.18 ID:UrhnCUS70
 にゃー、とねこは鳴き、墓の前で丸くなる。だが、万里花の視線はもう猫に戻ることはない。
次に本田の放った言葉があまりにも強烈だったのだから、それも無理からぬことではなかった。

本田「お嬢様、先ほどから誰と話しているのですか?」

以下略



6: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:10:10.09 ID:UrhnCUS70
――

 本田には墓地の入り口にて待ってもらうよう万里花は言った。
これ以上赤木と名乗る幽霊らしきものと話している場面を見られると、気でも触れたかと思われてしまい、あの約束が発動してしまうとも限らない。

以下略



7: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:11:22.59 ID:UrhnCUS70
万里花「も、もちろんです! この想いは振った振られたであっさり終わらせられるものはありません!」

赤木「なら上等、上等だ。この勝負、まだ勝機はある」

万里花「ですが……!」
以下略



8: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:13:08.51 ID:UrhnCUS70
赤木「それでもめげずに前へ進もうとする、戦おうとする。それは、どんなに歳を重ねてもたいていの人間にはできないものだ。だが、嬢ちゃんはそれができている。今でこそ敗色濃厚、苦境だが、あきらめてはいない。ここは嬢ちゃんの生き様に免じて、勝ち方を教えてあげよう」

万里花「本当ですか……!」

赤木「俺も成仏の仕方が分からない以上、退屈であることには変わりない。手伝ってやるさ。やってやろうぜ。大逆転ってやつを……」
以下略



9: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:15:06.79 ID:UrhnCUS70
――

万里花「本田、お待たせしましたわ」

本田「遅かったですね。あの墓がそんなに気に入りましたか」
以下略



10: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:16:12.28 ID:UrhnCUS70
――

翌朝

 万里花は少し早起きをして、いぶかる本田を尻目に昨日の墓地まで足を運んでいた。
以下略



11: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:18:12.03 ID:UrhnCUS70
――

校門前

赤木(ここが嬢ちゃんと敵の通う学校。一見してとくに目立った箇所はない……ふふ、博打打ちの性か、どうも疑ってしまう。恋愛という勝負なれば、そう大がかりなことは起こらない。気にする必要はない……そのはずだが、今回はその習性が活きたな)
以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2015/09/20(日) 22:21:17.47 ID:ZlcetbP0o
なんつークロスだ
期待


13: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:21:35.91 ID:UrhnCUS70
――

教室

赤木(さて、嬢ちゃんの狙う一条楽という坊主は……探すまでもないな。嬢ちゃんが真っ先に抱きつきにいったあの冴えないやつで間違いない。そして坊主から嬢ちゃんを剥がそうとしている金髪が、今回の対戦相手といったところか。まずは見に回るとしよう)
以下略



14: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:23:35.67 ID:UrhnCUS70
――

 そしてむかえた放課後。教室のドアが開き、教師と思われる女性が入ってきた。

教子「よーし、みんな席つけー。お待ちかね、席替えをやるぞー!」
以下略



15: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:24:54.98 ID:UrhnCUS70
教子「よーし、じゃあ番号順でくじを引け―」

楽「俺からか。お、一番前だ」

教子「ほらどんどん引いてけー」
以下略



16: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:25:49.58 ID:UrhnCUS70
赤木(やはりあの桐崎というやつ、強運の持ち主だ。五回連続で隣の席を引き当ててきた。その一方で、あの嬢ちゃんは苦しい。衰運だ。五回やって一度も隣につけない。一時は隣の席になりかけたが、結局は視力の悪い生徒との交代で水泡に帰した)

万里花「赤木のおじい様。わたくしは神様にみはなされているのでしょうか……」

 万里花は五回目の楽から離れた席にて突っ伏し、小声で恨みごとのようにつぶやいた。
以下略



17: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:26:55.60 ID:UrhnCUS70
赤木「くくく。ちと体を貸してくれ。次のくじは俺が引こう……」

万里花「えっ、体を貸すって」

赤木「そのまんまの意味だ……!」
以下略



18: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:27:57.72 ID:UrhnCUS70
――

赤木(くくく、まずは成功といったとこか)

万里花(無茶苦茶ですわ! こんなこと聞いてません!)
以下略



19: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:29:11.86 ID:UrhnCUS70
――

教子「よし、橘も帰ってきたことだし、始めるぞー」

 こうして六回目の席替えが開始される。その刹那、万里花はくじ箱とは違う方向、窓の向こうへと一瞥をくれる。その先の木の上。そこには登校時に見かけた千棘のボディガード、クロードが立っていた。万里花は視線を交差させると、不敵に笑った。クロードの眉間にしわが寄る。
以下略



20: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:31:01.36 ID:UrhnCUS70
クロード「本田!? くっ、謀られたのか!」

 鶫に任せるか、突撃すべきか……。クロードにとって、迷う暇などなかった。凄まじい脚力。木の上から飛び上がった彼は特製の武器で窓を打ち破り、教室の中へと突入した。

クロード「お嬢! ご無事ですか!?」
以下略



21: ◆7chPYS4ayA[sage saga]
2015/09/20(日) 22:32:35.12 ID:UrhnCUS70
 クラスがいまだに喧騒に包まれている中、静かに赤木は万里花の体から抜ける。

万里花「これはすべて赤木のおじい様の策略だったのでしょうか」

赤木「なあに、ちょっとしたいたずらさ。さて、成功報酬ならフグ刺しでももらおうか」
以下略



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