12:名無しNIPPER[saga]
2015/09/22(火) 16:33:48.20 ID:/JHwdyX00
私の言うことに驚いたのだろうか、その瞳が、少しだけ大きく見開かれる。
自分の言葉と想いが、咲に届いてくれたのかどうかが不安になった。正直、そこから逃げ出したいとすら思えた。
けれど、そういうわけにはいかない。例え無視されるにしても、咲からの反応を確かめないわけにはいかないのだ。
そんな風に思い、自らを叱咤しながら咲に目を向ける。
すると、咲は。
数瞬だけ目を伏せて、顔を上げて、一言。
「行ってきます、部長っ」
私だけに向けられた、彼女の強さが込められた一言は、何よりも何よりも待ち望んでいたもので。
どんな禁断の果実よりも蠱惑的で、甘美な響きをも伴って私の耳朶を打った。
38Res/18.49 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。