9:名無しNIPPER[saga]
2015/09/24(木) 16:38:00.83 ID:VB0G/KlUo
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僕の妹が狂っていると判明したのは、
はていつ位昔の事だったか僕は今一記憶に残っていない。
というのも、僕と妹は先刻言った様に一つしか年が違わないので
妹が幼い頃というのはイコールで僕の幼い頃な訳で、
当然記憶というのも曖昧模糊とした物にならざるを得ない。
「お兄ちゃんは凄いんだよ」
「僕がすごいの?」
「うん。お兄ちゃんはとっても凄いの、私はそれを知ってるの」
「そっか、僕はすごいのか」
「とっても凄いの、それで格好良いの、細い剣でばしばし倒すの」
「なにを?」
「人間」
幼少の頃、記憶に残る最古の妹とのやり取りはこんなだ。
当時の年齢を考えれば微笑ましい兄妹の会話なのだが、
今の妹を思えばこれは片鱗とも言えるなにかだったのかも知れないとすら思う。
疑心暗鬼、暗中模索と言った感じだ。 あるいは五里霧中か。
如何せん、妹の心中など僕には計り知れないので
憶測、推測、推察、そう言った仮定に仮定を重ねた思考が
妹を語る上でほとんどを占めてしまう。
狂っている、というのもだからそれは一般論であって
それが正しいとは限らないのだ。
それが真理だとは誰も言ってない。
ただただそうであろうと思っているだけ、
思っているだけの、机上の空論みたいなもの。
正当性など、一ミリも無い。
妹は、妹なのだから。
兄の僕がなにを言った所で、ってなものだ。
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