過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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109: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:49:37.97 ID:iuS/I4U4o
「阿万音さん、無事で良かった。心配した──」

 阿万音──
 その名を口にするということはあたしのことを知っている。そしてこいつはあたしに接触するためにこうしてここにいる。
 そう思うのとは別に、頭で考えるより先に体が動いていた。あたしは姿勢を低くし、脚部に力を込める。
以下略



110: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:50:43.94 ID:iuS/I4U4o
「オーケイ。あなたの質問に答える前に一言」

 両の手のひらをこちらに見せながら、自身のベッドに腰を下ろしたまま彼女は続けた。

「大丈夫。安心して」
以下略



111: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:52:14.70 ID:iuS/I4U4o
「覚えているのは、自分の名前……。そして君の名前だけ……」

「ふむん……あまり事態は好ましくないわね」

 あたしが答えると、彼女は口元に指を押し当て視線を床に移し呟いた。
以下略



112: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:53:45.83 ID:iuS/I4U4o
「あの、さ……」

 自分でも弱々しい声だな、って思った。
 声は届いていないらしく、彼女は依然として頭を抱えてぶつぶつと独り言を発している。あたしの信用を得られないことに対し本気で悩む彼女を目にし、あたしは少し罪悪感を覚えていた。
 冷静になって考えてみたら、彼女を見て記憶が思い起こされたのは確かだが、あの凄惨な状況を目の前に居るあたしと同じくらいの年の少女が作れるとは到底思えなかった。それに、映しだされた記憶の映像では40代くらいの女性だった。眼前の彼女はどう見ても10代後半か、20代前半といったところ。そうなれば今のあたしにある記憶と目の前の光景とでは矛盾が生じる。
以下略



113: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:55:49.56 ID:iuS/I4U4o
「あのさ──」

 とその瞬間、扉が勢い良く開き──

「フゥーハハハ、差し入れを持ってきてやったぞ助手よっ! 感謝するのだな──」
以下略



114: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:57:25.50 ID:iuS/I4U4o
「貴様、よく見ればバイト戦士ではないか……すでに接触していたのか……」

「良かった……岡部倫太郎……また、君に会えて……」

 なぜかは分からない。しかし、頭に浮かんだその名を音にするとポロポロと涙がこぼれ彼の白衣にしみを作った。
以下略



115: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:59:14.90 ID:iuS/I4U4o
「なんでかは説明できないけれど、なんだかとっても胸が熱くなっていっぱいで……おかしいね、2人のことあんまり思い出せないはずなのに……」

「バイト戦士、貴様もしや……記憶がないのか……?」

「あはは、そうみたい……でも少しだけ覚えてる、エピソードとか具体的なものじゃないけどね……。不思議だね、君たち2人を見てると安心する」
以下略



116: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 14:01:03.37 ID:iuS/I4U4o
「今岡部は宮野って名前を使ってる」

「不本意だがな、仮の名だ」

「大きな声では言えないけれど、私も同様に偽名を使っているわ──いや、正しくは他人の戸籍を使わせてもらってる。岡部──じゃなくても宮野もね」
以下略



117: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 14:02:59.06 ID:iuS/I4U4o
「阿万音さん、あなたも名前を変えてもらうわ」

「ええー? なんでー!? やだよー!」

「駄々をこねるなバイト戦士ぃ、機関を欺くために必要なことなのだっ!」
以下略



118: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 14:05:10.05 ID:iuS/I4U4o
「明日の回診が終わったタイミングで阿万音さんにはこの病院を抜けだしてもらう」

「え? なんで?」

「すでにタイムマシンの残骸は報道機関によって大々的に報じられてるわ。いずれあの場所の痕跡も調べられて、あなたに辿り着く。そしたら阿万音さんとの関係性も疑われるはず。そうなる前に行方を眩ませておいた方がいい……いや、すでになってるかもしれないわね。幸い、タイムマシンだと解析されてはいないようだけど」
以下略



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