過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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13: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/09/27(日) 16:41:02.27 ID:jH77HIQDo
 垂れた前髪が塞いで、紅莉栖の目元は見えない。しかし、その口から発せられた言葉は震えており、泣いているのが分かってしまった。
 そうだ……こいつも戦っていたのだ。思えば俺が延々とタイムリープを繰り返すことができたのも紅莉栖のおかげだ。残される側の気持ちを考えることすらも、忘れてしまっていた。そんなことすらも、忘れてしまっていた。一言、相談すべきだったかもしれない。
 だがもう、決めたんだ。俺はもう、逃げない──と。

「だったらさ……君も行く?」

 えっ?

 紅莉栖の前髪がわずかに揺れた。揺らしたのは鈴羽の意外な言葉。

「おい、鈴羽……お前、一体何を……」

 戸惑う俺を相手にせず鈴羽は言い続ける。

「このタイムマシンは本来1人用。しかも、乗ったら戻ってこれない。オマケに故障中。……それでもいいなら……それでも一緒に戦ってくれるっていうんなら……」

「一緒に行こうよ、君も、さ」

「おいおいちょっと待て、鈴羽、何を言っている、そんなの認められるわけ──」

 だがそんな俺の言葉を遮って紅莉栖は答えた。

「いいの? ついて行くわよ?」

「いやいやだから待て、紅莉栖、お前まで何を言い出す!」

「記憶を失ってもいいならね」

 ニヤリと口元に笑みを浮かべて言い捨てる鈴羽。内容に反して口ぶりはずいぶんと軽い。

「望むところよ」

 まっすぐと前を見据えて言う紅莉栖。その目には力強い光が宿っていた。
 いや、望むなよ!


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