過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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244: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:32:12.76 ID:0whGTSNro



 俺はすでに日本に帰国していた。家にはまだ帰っていない。鈴羽にも一度も顔を見せていなかった。
 どんな顔を見せればいいというのだ。
以下略



245: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:34:01.79 ID:0whGTSNro
「…………」

 来訪者は少しためらうような息遣いをして、やがて意を決したように口を開いた。

「久しぶり、だね」
以下略



246: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:35:05.58 ID:0whGTSNro
「何かあったの? 紅莉栖と……」

「別に、なにも……」

 とっさに否定する。
以下略



247: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:36:26.45 ID:0whGTSNro
「……はろー」

 ドアが開けられると同時に、おそるおそる、と言った様子で挨拶を口にする紅莉栖が姿を見せた。
 鈴羽ではなかったのか。だが、誰が来ても相手をしたくはなかった。今はただ1人になりたかった。

以下略



248: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:37:34.42 ID:0whGTSNro
「確かに、あんたと鈴羽が作り上げる未来は、本来の目的を達成するのであれば絶対に選んではいけない未来だった。でもね、いくら使命のために生きてるからといって、人間が享受すべき幸せを放棄してまで使命に縛られるべきなのかな」

「何が言いたい……」

「人としての幸せを手に入れたいがために、こうなったこと責めなくていいと思うってことよ」
以下略



249: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:38:29.47 ID:0whGTSNro
「人だって、変わるわ。私もこの10年、色々考えることはあったから……」

「話が見えてこんな。こんな話をするためにわざわざ日本に来たのか? ご苦労なことだな」

 こんな事態になったにもかかわらず平然としている目の前の女にいらつきを隠せず、おもいっきり皮肉を口にする。だが紅莉栖は動じない。俺の文句には反応せず切り出してきた。
以下略



250: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:40:37.94 ID:0whGTSNro
「1つは、従来の目的通り、IBN5100を使って2010年7月23日にエシュロンに捕らえられた最初のDメールを消す。その場合、タイムトラベルした私達はきっと再構成される。β世界線に戻れば、私は7月28日に何者かに刺されて死ぬ。鈴羽は再構成されて、数年後に生まれてくる。生まれるかどうかも確定してないけれど。あんたについては、世界がどういう判断を下すかわからないわね。矛盾がないように再構成されて、今のあんたの意識は身体とともに存在しなくなるかもしれない。2010年において存在してるもう1人のあんたに上書きされるかもしれない」

 どの道、多くを失うのは確定している。紅莉栖の死も世界線の収束によって不可避だろう。タイムリープマシンは存在せず、Dメールを使えば再びα世界線に戻ってしまう可能性が高い。
 どうしようもない絶望の世界線だ。

以下略



251: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:42:25.96 ID:0whGTSNro
 紅莉栖はそう言って、口をごもった。その先を言うのを躊躇っているようだ。
 代わりに俺がその言葉を補う。

「2000年問題を意図的に起こすというのか? だがそれも現実的とは言いがたいぞ」

以下略



252: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:43:41.39 ID:0whGTSNro
「そもそも、あくまで可能性の話。こういう選択肢もある、っていう話をしてる。私だって、罪のない人たちの生活を脅かすようなことはしたくないしαでもβでもない世界線だからといって、まゆりの命や未来の平和が保証されてる訳でもない。だから──」

 紅莉栖が息を呑む。俺もつられて息を呑んだ。

「だからずっと考えていたの。第3の選択肢について、ね」
以下略



253: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:45:29.74 ID:0whGTSNro
「さあな。大方、脳科学の分野か、あるいは少ない可能性にかけるためのタイムトラベル実験だろ」

「あながち間違いじゃないかな。脳科学の分野にも及ぶし、タイムトラベルについては思考実験として常々考えていたし」

「回りくどい、さっさと言ったらどうだ」
以下略



254: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/11(日) 19:47:45.58 ID:0whGTSNro
 紅莉栖は何も答えない。俺の言葉を待っているようだ。ならば言ってやる。

「そんなの机上の空論どころか、ただの妄想だ。世界は……そんなに生易しいものじゃない。俺は何度もまゆりの死を見てきた、抗うことなどできやしない……、もたらされるのは完全なる死。椎名まゆりの存在が否定されるのは決定事項なんだよ……」

 そう。それが世界の意思であり、運命なんだ。ただの人である俺たちがそれに抗うことなどできやしない。
以下略



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