過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:31:19.77 ID:iuS/I4U4o
そこで目が覚めた。汗が体中を濡らしていて、冷たくにじむ入院着の感触が気持ち悪い。体中が寒くて震えが止まらない。あたしは今まで見ていた夢の内容を思い返すが、どうしてもはっきりとは思い出すことができない。
なんかこう、居心地の悪さと居心地の良さが入り混じったような夢というのは記憶があるのに、あたしの頭は思い出すことを拒絶してるかのように頑として封印したままだ。
もどかしい。
頭の中を羽虫が素早く飛び回っていて、捕まえようとすればするほど見失うような感覚。
以下略
100
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:33:39.32 ID:iuS/I4U4o
連日、叩きつけるような雨がざああと降り注いでいる。まとわりつくような湿気と暑さ、雨の頻度。それはあたしに梅雨の季節を実感させた。
あたしが目を覚ましてからすでに1週間が経過している。
以下略
101
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:35:25.66 ID:iuS/I4U4o
目の前に横たわったシャケの切り身を器用に箸で身をかき分け、つまみ、口に入れる。すると、すぐに適度に効いた塩味が口の中に広がった。意図せず、耳の下が持ち上がるような感覚。その快感に身を捩らせながら、続けて白いご飯を一気にかきこみ、幸せな味を頬張りながら胃の中を満たしてく。
以下略
102
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:36:47.58 ID:iuS/I4U4o
「いくつなの?」
「え? ええと、33くらいよ」
以下略
103
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:38:18.49 ID:iuS/I4U4o
「そうそう」
唐突に話題が転換される。
「ん? どしたの?」
以下略
104
:
◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:39:54.35 ID:iuS/I4U4o
目を覚ましてすぐの頃は目付きの鋭いおっちゃん達がこぞってあたしのこと訪ねてきたっけ。いずれあたしの記憶が失われていて、それが中々戻らないことがわかると訪問の頻度は大分下がったけど。
しっかし、別の病棟かぁ。
そうしたら今に比べて開放感溢れる生活になるのかもしれないけど、この人と中々会えなくなっちゃうんだろうか。それは気が進まなかった。けれど病院の判断である以上従わない訳にはいかない。ここで駄々をこねるほどあたしは聞き分けが悪くはなかった。
「そっかぁ……別の病棟かぁ」
以下略
105
:
◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:41:45.54 ID:iuS/I4U4o
「それと、今度行く病室は相部屋みたい」
「相部屋? もう人がいるってこと?」
「えーっと名前は……うーん、外国の人かな? ……えらいな……?」
以下略
106
:
◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:44:07.22 ID:iuS/I4U4o
翌日、期待と不安を胸に抱きながら、あたしは今までいた病棟を後にした。新たな病棟の案内をしてくれたのは別の看護師。てっきり椎名さんがしてくれると思っていただけに少し残念な気持ちがあったが、やはり新しい風景というのは心を踊らせてくれる。どうにか記憶を取り戻すきっかけになってくれればいい、そう思いながら新しい病室へと足を踏み入れた。
同じ病院内の施設ということで部屋の構造自体はそう変わりない。広さは16畳といったところ。窓は開けられていて、以前のような暗雲に満ちた空ではなく、少しだけ霞んだ青空が窓枠の中に広がっている。
以下略
107
:
◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:45:36.71 ID:iuS/I4U4o
見なきゃいけない。
見ちゃいけない。
会わなきゃいけない。
会っちゃいけない。
対抗する2つの感情が激しい火花を散らしてあたしの心を焦げ付かせる。
以下略
108
:
◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:47:10.25 ID:iuS/I4U4o
思わず口から驚嘆の言葉が漏れる。その扉の向こうにはベッドに腰を下ろし口元にまっすぐ人差し指を当てた女。
”声を出すな”ということだろう。いや、そんなことはどうでもよかった。
その女を目にした瞬間、あたしの脳裏にいくつかの情景が浮かんだ。
まるでテレビのチャンネルが切り替わるかのように──
以下略
109
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 13:49:37.97 ID:iuS/I4U4o
「阿万音さん、無事で良かった。心配した──」
阿万音──
その名を口にするということはあたしのことを知っている。そしてこいつはあたしに接触するためにこうしてここにいる。
そう思うのとは別に、頭で考えるより先に体が動いていた。あたしは姿勢を低くし、脚部に力を込める。
以下略
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