過去ログ - ?「咲が好きなのは私!」咲「ふえ?」
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386:名無しNIPPER[sage]
2016/02/12(金) 20:07:42.27 ID:rSFTIGAzO
教室のドアを開いて、それぞれの席に着いたところで京太郎と咲に声が掛けられた。因みに二人の席は窓側最後列で隣同士である。

「おはようございます宮永さん。須賀君」

「おはよー和ちゃん」

「おっす和」

 腰まで伸びる桃色の髪に、すれ違う男子が必ず二度見する豊満なバスト。整った容姿を有するこの少女は、咲や京太郎と同じく麻雀部に所属する部員、原村和。中学時代のインターミドル王者であり、インターハイ団体戦でも副将を務め合計収支プラス、個人戦ベスト16にまで勝ち進んだ長野県を代表する打ち手の一人である。

「コクマのメンバーに選ばれたんですよね。おめでとうございます」

「あ、ありがとう。和ちゃんも選ばれてたよね?」

「はい。世界ジュニアの代表には漏れてしまいましたが、コクマは何とか選出されました」

 咲と和の二人はそう言って笑い合う。国民麻雀大会と言えば高校性にとっての三大大会の一つ。予選を勝ち抜かなければ本選に出場することは出来ないが、まずそのメンバーに選出される時点でかなり名誉なことだ。先程咲が言ったように、今年の長野県は例年にないくらいレベルが高かった。インターハイ初出場でありながら決勝卓にまで勝ち進んだ清澄高校がそれを体現しており、また個人戦に出場した三選手も全員がベスト16以上に名を連ねている。これまでレベルが高いと言われていたのは東京、大阪、鹿児島、兵庫などであったが、来年からはそこに長野県が加わることだろう。

 そんな長野県の代表に、清澄高校から二人も選ばれる。これをスゴイと言わずしてなんと言うのか。京太郎はしみじみ自分の周りには怪物ばかりだなぁと考える。

「まぁ部長が代表を辞退したので転がり込んできただけなんですけどね」

「部長が?」
 
 和の言葉に、京太郎が小首を傾げた。

「はい。高校の麻雀はインターハイでもう十分楽しんだ。今はプロチームで打つほうが楽しいんだそうです」

「ああ。そういや部長って……」

「プロチームの入団が内定してるんだっけ」

 京太郎の言葉の後に続いて咲が言った。

 清澄高校元部長、竹井久。悪待ちなどという和に言わせれば非効率極まりない打ち方でインターハイを戦った、我らが部長様である。高校に入って団体戦に出るのが夢だったらしい彼女が、インターハイ決勝戦後に大粒の涙を零して感謝の言葉を述べたことを、京太郎は恐らく一生忘れないだろう。咲という恋人が居なければうっかり惚れてしまいそうなくらいに、その時の部長は綺麗だった。

 そんな部長も今ではその権限を二年の染谷まこに渡し、インターハイの時に親交を深めた姫松の愛宕洋榎と揃って埼玉のチームに加入することが内定している。今はチームの遠征に内定選手としてついて回っており、高校は一週間ほど欠席していた。

「すごいよね。清澄からプロ選手が出るなんて」

「だな。今のうちにサインでも貰っとくか」

 ミーハー気質の京太郎がそんなことを言っていると、予鈴が鳴り響いた。和は自分の席へと戻っていき、咲も慌てて姿勢を正す。夏休み明けの行われた実力テストも終わって、次は文化祭だと盛り上がり始める雰囲気をなんとなく感じながら、京太郎はなんとなく昔のことを思い出していた。

 それは一年ほど前の記憶。それは咲と京太郎の二人にとって決して忘れることの出来ない記憶。


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