24:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:38:05.18 ID:Csg2FCKN0
「うぅ…… 嫌」
ああ、ほら言わんこっちゃない。
遂に女は嗚咽を漏らすようになった。
もう、何だよこれ。
沸々と怒りがこみ上げてくる。
遠い昔に置いてきたようなこれっぽっちの良心や正義感が俺に訴えてくる。
今更改心したってもう…… こんな最低な男がどの面下げて正義ぶってんだ。
俺の人生はこれでいいのか?
このまま女を見捨てたら―― いや、俺には何も関係ないことだ。
見過ごしてもこれまで通り俺のどうしようもない人生は変わることはない。
だったらこの憤りは何なんだ。そして何かに駆り立てられているような焦燥感は?
ここで助けを求める手を振り払ったら…… 俺は、俺は本当の外道に成り果てるのではないか。
いや、たまたま目が合っただけで「助けて!」なんて頼まれていないし。
しかし…… 怖い。このまま自分が悪魔になってしまうような気がして。
偽善でも何でもいいじゃないか…… 助けたのには変わりないのだから。
一人の世界に閉じこもって、いつの間にか性根は腐りきっていて。
自分自身の内なる痛みを無視するならまだしも、今ここで助けを求める人、その心の叫びにまで鈍感になってしまうなんて。
それは―― 外道も畜生も通り越して「悪魔」ではないのか。
俺は…… 俺はどうすればいいんだ。
「あ、あのー……」
「はい、お会計ですか!?」
あんたじゃねぇよ!!
声はこの上なく震え、しかしなんとか底から搾り出して。
そうしてわなわなと立ち上がったところ…… 会計と勘違いしたのかウィトレスのお姉さんがやって来た。あなたじゃないです……
しかし、これはチャンスかもしれない。
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