過去ログ - 女勇者「勇者よりも、お姫様になりたかった」
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◆WnJdwN8j0.
[saga]
2015/10/08(木) 11:39:23.54 ID:D5Z8hfqq0
精霊(……この体勢じゃ、勇者が俺の王子様だよ)
精霊は悩ましげな顔をしたが、すぐに「よしっ」と何かを決意したようだ。
精霊「俺、大きくなるよ! すぐに勇者を追い越してやるからね!」
勇者「あはは。期待してる」
精霊「でも勇者、今は――」
勇者「あっ」
精霊は勇者の体を抱きしめ返した。
力強く、頼りがいがある。体は小さくても、やっぱり精霊は男だ。
精霊「今は、このままの俺で言わせて――」
勇者「……うん」
精霊「勇者、俺は勇者のことが――」
囁くような声は風の音に上書きされる。
だけど勇者は聞き逃さなかった。声の余韻を耳に残し、何度も何度も頭の中で反復させる。
勇者「私って――誰よりも幸せだろうね」
精霊「そう思う?」
勇者「うん…だって私――」
勇者「勇者にも、お姫様にもなれちゃったんだから!」
Fin
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