過去ログ - 白菊ほたる「かげろう、プロデューサーさん」
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10:名無しNIPPER[saga sage]
2015/10/01(木) 23:41:25.94 ID:cI/SoD+oo
 ちょっといいですか、と声をかけると、彼女はビクッと身体を震わせて、この世の終わりみたいな顔を振り向かせた。

「怪しい者じゃないんです」

 自分で言ってて、ついつい吹き出してしまった。

「アイドルに興味はありませんか」

 今日、俺が声をかけた誰も、そんな言葉には足を止めなかった。
 けれど、彼女は足を止めた。

「アイドルの卵を、探しているんだ。僕、プロデューサー」

 俺は胸ポケットを探るふりをして、あちゃーとわざとらしく頭をかいた。

「ごめん、名刺を忘れてきたみたいで」

「あ、いえ……あの」

「そう、君、アイドルになりませんか」

 俺はぐいっと口角を持ち上げて前歯を見せつける。
 学生の時分は歯列矯正器が邪魔っけで笑うことに抵抗があり、今日みたいに一日中ニコニコすることもなかった。
 見せかけの笑顔ではあるけれど。


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