過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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633: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2015/12/09(水) 00:02:03.01 ID:S8cQMjhV0
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「すみません、ヒノカさん」
 
 他人行儀な呼び方も付けて、カムイは私の望みを否定した。

「そうか……」
「呼べるならそう呼びたいです。でも、僕は白夜の皆さんと家族になれる立場にはいません。だから、そう呼ぶことはできないんです」

 口にすら出さないのは、カムイの考える線引きなんだろう。私の中の肥大した歪んだ人間性が急速に萎縮していくのがわかる。
 終わったのだと、今さらになって理解した。

「だから、ヒノカさん。僕のことなんて忘れてください」

 優しい音色で私に語りかける。
 カムイの口から忘れてくださいと。それに私は頷きを返すしか道がない。

「……カムイがそう望むなら、家族としてのお前を私は忘れよう……」 
「それがいいです。僕に気を使っても、ヒノカさんが困るだけですから……」

 そうしてカムイが視線を下に落としたのを見たときだった。私の手は静かに机の下へと延びて、それを掴みあげる。
 その動きにカムイが気付いたのは私がそれを懐に引き寄せて、口を開いた瞬間であったのだから、今のカムイにできることは何もなかった。
 アサマから拝借しておいた禍事罪穢の祈祷棒が静かに揺れると、カムイの表情が一気に疲れを帯びたものに変わる。
 カムイの答えは、私にすべての準備を整えさせただけにすぎなかった。

「ひ、ヒノカさ、ん。な、なにを……したんですか……」
「カムイ、私は嬉しいよ。気を使わなくていいと言ってくれて」

 カムイに歩み寄って、静かにその肩を押す。まったく力を入れなくてもカムイは仰向けに倒れ、その表情は珍しく動揺しているようだった。


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