過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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761: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2015/12/24(木) 21:11:45.06 ID:l3VnDCHF0
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「……エリ…んへの…………トです……」

 目線を逸らして、口籠った声で伝える。
 大きな声で云えないのは、やっぱり風邪を引いた理由に関連付けされてしまうことがいやだったからだ。ピエリの誕生日に嫌な思いをさせたくないというのがリリスの思うところだった。
 でも、それはピエリにとって不満だった。だから、静かにリリスの横に歩み寄って屈む。ベッドに横たわる視線の高さ、二人の位置が平行になった。

「リリス、聞こえなかったの」
「ううっ、もっと小さい声でいいなら」

 さらに小さな声でならと、リリスは言う。この距離からでも聞こえないかもしれないという声かもしれないが、ピエリには関係なかった。ずいっと頭をリリスの顔の真上に持ってくる。その顔はとても楽しそうで、いろいろと考えていることに意味がないと思えるほどだった。

「そう、なら、囁いてくれればいいの」
「ピエリさん……」
「ふふっ、初めて会った時からずっとリリスわからないことがあると、いろいろな顔するの。でも今はそういう顔してほしくないのよ。だから、気にしないで教えてほしいの」

 見つめてくれるピエリの目は何処までも純粋にまっすぐだった。リリスの頭をよぎる心配事は杞憂だと静かに告げてくれる。だから、リリスもそのピエリの気遣いに身を任せることにした。

「リリス、この包みは何なの?」
「え、えっと。ピエリさんへの……誕生日プレゼント……です」

 もう誤魔化せない距離で告げた言葉。綺麗な包み、一生懸命準備したもの、そういう意味もすべて込めて、それが何なのかをピエリに告げた。

「……ごめんなさい。今日は……ピエリさんの誕生日なのに、心配かけてしまって……」
「ううん、体の具合が悪くなる時は悪くなっちゃうの。だから気にしないのよ」

 そう言って、ピエリは静かにそのラッピングされた箱を手に持ってリリスに手渡した。手に感じる重さ、でもその直後に暖かい温もりが手の中に広がるのがわかる。

「ピエリさん?」
「リリスの手、冷たいの。ピエリが温めてあげるのよ」



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