過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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951: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/02/16(火) 22:45:46.40 ID:Lo0qQGmU0
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 死体を操る透魔軍の攻撃を退けながら、手薄な場所を攻めて突き進んできたカムイ達は、地下通路を経ての王宮の入口広間へとたどり着いた。王宮の中は手が届いていないようで、埃と蜘蛛の巣が部屋の隅のあちこちに張り巡らされている。それを見た城塞の面々は仕事が出来ていないというように顔をしかめた。
 あのジジイ、人に口酸っぱく掃除について言ってるくせに新しい主の城は汚れてるじゃねえか、そうジョーカーが零せば皆は同意するように頷く。その中にはカムイも含まれていた。

「さすがにこの城を一人で隅々奇麗にするのは酷というものですよ。それに彼らの目的を考えれば、城も将来使わなくなるのでしょうから」

 歩むだけで埃がふわりと動く、そんな広間を進むカムイたちだったが、それはすぐに止まることになった。
 二階へと続く道に影がある。顔をあげればそこにいるのが誰だかすぐにわかった。

「……お待ちしておりましたぞ、カムイ様。いえ、今はカムイと呼ばせていただきましょうか」

 階段を一歩一歩降りてくる、その身には隙はなく、顔に走った傷跡は痛々しさよりも、今は強大な壁のような印象を与える。その壁はカムイと一定の距離を保つように動きを止めた。
 手にした血で黒く染まった槍と朱が彩る鎧、そして邪悪な笑みが張り付いたその顔。記憶の中にある面影とは異なるその人の名を呼ぶ。

「ギュンターさん」

 ギュンターさん、そう呼ばれて彼は楽しそうに唇をさらに吊り上げる。普段の笑みとは違う悪意の微笑は、知る者達から彼が変わってしまったということを突きつける。寡黙で普段は感情をあまり出さない彼が、常に笑っていることさえも、目に見えない歪さを与えてくる。
 自然と各々が己の獲物に手を添え始める。いつ何が起きてもわからないこともそうだが、まるでここに来ることがわかっていたかのように現れたギュンター、そこから考えられるこの状況を察してのことだ。それは、紛れもない事実としてすぐに現れる。
 幾つもの気配が突如としてこの広間に現れ、ギュンターの号令を待つようにただ待ち続けている。


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