過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―2―
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953: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/02/16(火) 22:57:12.06 ID:Lo0qQGmU0
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 立て続けに三本の暗器が空を切る、それぞれカムイの後ろにいる者たちからだ。一つはジョーカーのもの、そして残りは彼の左右から放たれたものだ。それをギュンターは軽々と避け、再び目を向ける。その久しく見ていなかった服装で、誰かはすぐに理解できた。

「ふん、やはり部族は部族か。主の命令を待たずして噛みつくようでは、まだまだ躾が足りなかったように見える」
「私はカムイ様を侮辱した人物と戦場であったのなら、容赦はするなと教えられております」
「カムイ様のことをひどく言うのは許しません。覚悟してくださいギュンターさん」

 カムイを守るようにしてフェリシアとフローラが前に出ると、恩師を前にしてその瞳やか前に揺るぎはない。すでにギュンターを倒すことに迷いがないことを語る。それはカムイの横に寄り添う最後の従者も同じであった。
 手に持った魔法書を開き、いつでも放つ準備を整える。ギュンターはそれに興味深い顔を返した。

「それがお前の答えか」
「カムイ様を守るのが私の使命です。そして何より、ここには同じくらい大切で守りたい人たちがいるんです」

 それがどういうものかをギュンターは知っている。だからこそ、虫唾が走った。

「ほう、では、お前が守りたいものも壊してやろう。壊れていく姿を見ながら涙を流す姿、さぞ愉快なものだろうな」

 その宣言にあるのは殺気と憎悪であったが、それをリリスは真正面から受け止め、静かに本を持つ手に力を込める。

「ふっ、気概はいいが、所詮は烏合の衆、ここで死ぬことから逃れられないというのにな」
「そういうわけにはいきませんよ、ギュンターさん」

 握りしめた夜刀神を構えながらに、カムイはギュンターと目線で対峙する。

「私たちはあなたを倒します。そして、この先で待っているすべての元凶にも負けるつもりはありません。それがここまで戦ってきた私たちが目指す場所なんですから!」

 それは彼女について来た者たちの総意だった。一人一人がその目標を共有している。強き絆が生み出す一体感は、突風にも似た衝撃を感じさせるものだった。
 だからこそ、話は終わりだと誰もが理解する。この先、刃は言葉で止まらない。どちらかが倒れ伏すまで戦いが終わることはない。
 ギュンターの手が静かに上がり始め、その合図は気配達に武器を握る。それに合わせてカムイ達もそれぞれが構えに入った。
 剣を握りしめ、矢を掛け、魔法書めくり、獣人たる者たちは己を獣人たる由縁たる姿へ。ギュンターはその準備が終わるのを待っているようにも見える。それは余裕か、それとも……
 答えを模索する暇だけは与えないと言うように、その手は静かに下ろされた。


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