5:名無しNIPPER[saga]
2015/10/12(月) 23:03:15.71 ID:Lch4ddxp0
地上に帰ってきて、抱き合う勇者たちを見て、ようやく美波は笑顔を取り戻していた。
とはいっても、泣き笑いのような表情だ。
美波は海洋学者の父親が大好きだ。
最後、地球のために宇宙に一人残った父、ハリーを自分の父親と重ねてしまい、終盤はずっと涙を止められずにいた。
それはアナスタシアも同じだったようで、鼻をすする音が隣から聞こえていた。
そんな二人を気遣ってか、珍しく小梅は袖から手を出して、二人の手を握っていた。
「……すごく、良かったね」
涙をふきながら美波が言うと、アナスタシアも同じように涙をふきながら、ダー、と答えた。
「ミナミ、ごめんなさい。ちょっとパパに電話してきます」
「うん、気持ちわかるよ。いってらっしゃい」
スパシーバ、と答え、アナスタシアは携帯を手にフリースペースを後にした。
「小梅ちゃんはどうだった?」
「う、うん……いつもは、ホラーばっかりだけど、こ、こういう映画もいいなって、思ったよ」
にっこりとほほ笑みながら、か細い声で小梅は言った。
「み……美波さん、アーニャちゃんが戻ってくるまで、お、お話しよ?」
ええ、もちろん、と美波が答えると、ほっとしたように息をもらしながら小梅はまたにっこりとほほ笑んだ。
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