3:名無しNIPPER[saga]
2015/10/13(火) 03:12:25.04 ID:BpcSycVC0
ああ、見えてきた椅子越しの後姿は、きっとソイツのものだろう。
「葉山様――お連れ様がお見えです」
夜景をバックにした後姿だけで十分画になるのが腹立つ。
もうこの写真だけ撮って帰ってやろうかなと思ってはみたものの、ボーイに張り付かれている手前そういう訳にもいかない。
今俺が帰ればきっと彼の粗相の所為になり彼の今後の立場が危ういものとなろう。俺だからこそその苦しみは分かる。分かるからこそ止める。
そうこうしているうちにヤツが、振り返った。
「驚いた、まさか本当に君が来るなんて」
本当に驚いた顔、とは言いがたかった。面白さ半分、というのは間違いなさそうだ。
俺が記憶している、学生時代の――葉山隼人の表情筋の動きと違いが無ければ、の話だが。
「……なんか若干想定してたっぽいのはなんでだ? 俺、お前に仕事教えたりしてないよな?」
「学生時代の人間と繋がっていれば、それくらいの情報は入ってくるさ。それに――」
何時代においても人間と繋がれなかった俺には逆立ちしたって真似できない芸当である。
っていうか何? コイツってばそんな俺みたいなヤツのこと覚えててくれたの? 俺感激しすぎてちょっと葉山のこと好きになりそうなんだけど。あっぶねーマジ、っぶねー。ホント油断もすきもないわー。
で、それになんなの?
「いや――それにしても、まあ」
そこで葉山は話題を変えて、俺のてっぺんからつま先までスキャンするように視線を送った。やめて! そんな成人イケメン特有のねちっこい目で見られたら八幡変になっちゃう!!
15Res/12.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。